「世界的知性」スティーブン・ピンカーが、米国「リベラル」から嫌われる理由
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データをみれば世の中は人々のイメージより悪くなくて、昔よりは随分良くなっているというメッセージ自体は、「ファクトフルネス」と同じ趣旨で、社会問題の解決に力を入れている人たちからすると「問題を矮小化している」「水を刺された」と思うのかも知れません。
ピンカーの場合は長年にわたって人間の性質の先天性を強調してきたこともあって、遺伝子決定論者=差別主義者というレッテルを(貼りたい人から)貼られてしまっているのでしょう。実際にはそんな事は言ってませんが笑
また、読書バカのビル・ゲイツに持ち上げられて、膨大な論文を取りまとめた分厚い本が立て続けにベスト・セラーとなり、がっぽり儲けた上に「世界的知性」とまで言われ、嫉妬を買ったのかも知れません。(もはや知性とは何か分からないレベル)
ピンカーを排除しようという学会側の批判は完全に的外れで、実際にはピンカーが言っていない主張を対象にしているのでたちが悪いです。こうした炎上劇のようなことは、日本でもよくあることですが・・・。
チョムスキーやフクヤマなどは、リベラルというよりは、既に痛い老害という気さえします。多様性を主張しながら、自ら排他的行動に出ているあたり寒々しいです。
ピンカーの主張の本当の問題は、人間のある情動や性質(例えば"死を恐れる")が、いかにも人類に普遍的に存在しているかの様に根拠なく描いていることにあります。ピンカーのロジックでは、人類は普遍的な理性に導かれ、次第に啓蒙されていき、従って未来はどんどん良くなっていくしかない。
このあたりはNPの世界観とも繋がっていて、だからこそNPから「21世紀の啓蒙」が出版されたのかも知れませんね。
しかし、このポイントこそがマイノリティ排除に繋がっています。人々はそれほど一様ではないです。誰もがお金稼ぎたいわけでも、一流になりたいわけでも、起業したいわけでもない。ピンカーが想定するような「理性」などからおよそ縁遠いたくさんの人が幸せに暮らしています。
学会が指摘すべきとすればそこじゃないでしょうか。
現代は、ピンカーが夢見る理性に啓蒙されていく人間を前提とひた社会システムの限界が露呈しているとさえ言えます。これはリベラル思想に反する意見を言うと、世の中から「抹消」される「キャンセルカルチャー」が問題です。BLM運動以降、大学、メディアでもエンターテイメント業界でも、リベラルが気に喰わない事をしたために職を失った人がたくさんいます。トランプ政権を擁護するような発言も非難の対象になります。NYタイムズの編集者は、共和党議員の寄稿を載せたための首になりました。ピンカー教授はアンチトランプで啓蒙主義者ですが、人種差別を軽率するような発言をしたいう罪で糾弾されたわけです。恐ろしいのは「キャンセル」しようとしているのは、本来色々な意見を受け入れないといけないアカデミックやメディアの方々です。リベラルが行き過ぎると脅しになる事例です。
ピンカーは読んだことがなかったので買ってみたんですが、全く刺さらなかったですね。
好き嫌いも有りますが、これも損させ仮説?
NewsPicksパブリッシングと草思社の協業から生まれた成果 ~ 伝統的出版社と新興出版社が手を組んだ理由
https://hon.jp/news/1.0/0/27962
追記
ピンカーの「心の仕組み」上下刊持ってました。。
進化心理学の妥当性はよく分かりませんが、「普遍的なこころ」みたいなことは違和感を感じますね。
「21世紀の啓蒙」は、こうしたバックグラウンドを持つ心理学者の考える"ケイモウ"と、若干割り引いた方が良さそう。恐らく書かなくて良い分野まで書いた本と受け取るのが良さそうで、ピンカーの専門性を知らずにマクロデータ分析結果の解釈を真に受けるのは危険ということなのかもしれません。
ただし、心の仕組みに関するピンカーの科学者としての取り組みは、後の世の実証で明らかとなるでしょう。そこは科学というものの良いところ。