2020/8/15
【キャッシュレス対談】決済の未来を変える「5つのトレンド」
コロナ以前と以後で、人々のお金の支払い方は、どう変わったのだろうか──。
現金派が多いと言われてきた日本で、クレジットカードやスマホなどを使ったキャッシュレス決済は、確かに拡大している。しかし、このコロナ下において、決済の行動様式は大きく変わりつつあるようだ。
日本におけるキャッシュレス動向の「今」がどうなっているかについて、NCB Lab.と電通が2018年から定期的にアンケート調査を続けている。
今年は4回目の実施で、コロナ下における初の調査となり、これまでとは異なる興味深い特徴的な結果が出てきた。
NewsPicks編集部は今回、これからの決済動向について、NCB Lab.代表の佐藤元則氏と、「電通キャッシュレスプロジェクト」を主宰する吉富才了氏の対談を企画した。
両氏が見いだしたキャッシュレス決済の未来を左右する「5つのトレンド」を紹介する。
トレンド①・②:「速さ」「清潔さ」
──今年の調査では、どのような結果が特徴的でしたか。
吉富 まずは、4月の緊急事態宣言後にキャッシュレス決済の比率が高まっています。
「キャッシュレス比率がコロナ後に増えましたか」と聞いた質問で、47%の人が「増えた」と回答しました。特に、10%いた現金派の人が「キャッシュレス決済が増えた」と答えているのが特徴的です。
ずっと現金を好んで使ってきた人も、コロナをきっかけにキャッシュレスが増えており、今、キャッシュレスに対する意識のパラダイムシフトの兆しが見えてきました。
──コロナ下で、キャッシュレス決済が進んだのはなぜですか。
吉富 キャッシュレスが増えた理由を見ると、1位が「ポイントキャッシュバックが魅力」。2位が「レジでの決済スピードが速いから」、3位が「清潔だから、衛生的だから」、そしてその次が「オンラインでの買い物が増えたから」です。
1位の「お得さ」というのは毎回出てくるのですが、今回は、コロナの影響によるソーシャルディスタンスを背景に、決済スピードや清潔などの安全面への意識が高まっていることがうかがえます。
佐藤 私もコロナの影響でキャッシュレス決済の利用が加速しているということは大前提として、キャッシュレスの内容が劇的に変わったなと感じています。
つまり、日本の消費者の行動様式が劇的に変わり、現金に対して感染リスクが高まるという意識が今まで以上に根付いてきています。
我々は、ワクチンや治療薬ができるまで、新型コロナウイルスとは正面から戦えないので、今はいかに防御するかが重要です。
決済における防御の手段として、「現金に触らないこと」もしくは「なるべく支払いに時間をかけないこと」が防御策になります。
トレンド③:「コンタクトレス」
──キャッシュレスが加速し、「決済の速さ」や「清潔さ」という意識の変化も出てきたということですね。他に注目していることはありますか。
吉富 キャッシュレスといっても、さまざまな方法がありますが、「非接触(コンタクトレス)決済」へのニーズの高まりにも注目しています。
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この連載について
新型コロナは人々のライフスタイルを変え、経済・社会全体が変革に迫られている。特に、日常の働き方や消費スタイルは大きく変わりつつあり、ポストコロナ時代に向けた「ネクスト・ノーマル(次なる日常)」が始まろうとしている。その新たな未来のヒントを探る。