[ワシントン 13日 ロイター] - トランプ米政権は13日、温室効果ガスであるメタンの石油・ガス事業からの排出削減を目指した規制を廃止する方針だ。11月の大統領選を前に、環境規制を緩和する動きに出ている。

環境保護局(EPA)のウィーラー長官は、大統領選で民主・共和両党の支持が伯仲する「スイング・ステート(揺れる州)」のペンシルベニア州を訪問中、オバマ前政権が2016年に定めた、石油・ガス産業のメタン排出制限を正式に廃止した。メタン排出規制の廃止案は昨年8月に示され、環境保護団体の批判を招いた。

同長官は同州ピッツバーグで、新規則により21─30年に年間1億ドルを節減できると指摘。「国内エネルギー産業にとって重荷となり、効果のない規制を削減するという、トランプ大統領の公約を果たすことになる」と強調した。

EPAは、12年に出した、スモッグを引き起こす揮発性有機化合物(VOC)の排出を制限する規則は維持した。

新規則では、石油・天然ガスの生産・処理に対するメタン排出抑制義務を撤廃。輸送・貯蔵からの排出も規制対象外とした。小規模の企業に対するメタン漏れ検知装置の設置義務を免除した。

米石油協会(API)の幹部(規制関連担当)は、ロイター通信に対し、「われわれは、今回の規制改定を支持する」と述べた。「ただ、改定された規定を受け、業界全体で異なる見解があることを理解している」と語った。