[ムンバイ 6日 ロイター] - インド準備銀行(中央銀行)は6日、政策金利のレポレートを4.0%に据え置いた。足元で消費者物価が上昇していることから、インフレ動向を注視する。ただ新型コロナウイルス危機を踏まえ、緩和スタンスを必要な限り維持する方針を示し、銀行の法人向け融資の再編を認めると発表した

リバースレポレートも3.35%で据え置いた。

政策金利の据え置きは予想外だった。

ロイターのアナリスト調査では、3分の2が25ベーシスポイント(bp)の引き下げを、残りが据え置きを予想していた。

インド中銀は昨年から緩和サイクルに入り、今年は2月以降、レポレートを115bp引き下げている。

ダス総裁は「インフレ見通しを巡る不透明感と、新型コロナによる前例のないショックの中で極度に低迷する経済情勢を踏まえて、政策金利の据え置きを決めた」と表明。

「経済復興を支援する余地を活用するため、インフレ率が持続的に鈍化するか(引き続き)警戒していく」と述べた。

ただ金融政策委員会は、緩和的な政策スタンスを「経済成長の再開に必要な限り長期にわたって」維持することを全会一致で決定した。

インド政府は新型コロナウイルスの流行を受けて、3月下旬に厳格なロックダウン(都市封鎖)を導入。6月から段階的にロックダウンを緩和したが、感染者の増加は続いている。

ロイター調査によると、4─6月のインド経済は20%のマイナス成長となる可能性がある。

エララ・キャピタルのエコノミスト、ガリマ・カプール氏はインフレ圧力が緩和すれば景気落ち込みに対応して今年度(2020年4月─21年3月)後半に25─50bpの利下げもあり得るとみている。

<不良債権問題に対応>

中銀は、不良債権が倍増すると予想される中、1回限りの融資の再編を認めると発表した。

ダス総裁によると、現行の不良債権処理の枠組み内で、銀行は法人向け融資債権を債権放棄せずに再編できるようにする。当該債権は正常債権という区分で変わらない。

L&Tフィナンシャル・ホールディングスのチーフエコノミスト、ルパ・レゲ・ニツレ氏は、モラトリアム(返済猶予)でなく債務再編のスキームを打ち出したことは金融安定の観点で賢明な措置と評価した。

ダス総裁は、新たな債務再編スキームについて、新開発銀行(BRICS開発銀行)元総裁のカマト氏を座長とする諮問委員会を設置すると明らかにした。