[東京 30日 ロイター] - 政府は30日、経済財政諮問会議に2020年度・21年度の経済見通し(年央試算)を提出した。新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえ、20年度実質成長率(GDP)は今年1月時点の見通しプラス1.4%からマイナス4.5%に大幅に下方修正した。08年度リーマン・ショックを受けた3.4%のマイナスをしのぐ落ち込みとなる。21年度は「新たな日常」に対応した政策効果などによる早期回復を見込み、プラス3.4%とした。

今秋に海外で感染症の大規模な第2波が到来するという国際機関のシナリオをもとに試算した参考値も示した。その場合、20年度実質成長率はマイナス5.0%と一段と落ち込み、21年度はプラス3.0%とやや弱めの成長になると見込んでいる。

基本的な経済の姿として、「新たな日常」を通じた「質」の高い経済社会の実現に向かうとの明るいシナリオを描いている。

消費が今年4─5月を底に回復に向かい、設備投資もデジタルトランスフォーメーション推進などへの転換を図る中で研究開発投資やデジタル投資が増加し来年にかけて持ち直すと見込む。国内経済の水準(GDP)は、感染症が拡大する前の水準を早期に取り戻していくとしている。

民間調査機関の見通しをまとめた「7月ESPフォーキャスト調査」では20年度の実質成長率はマイナス5.4%程度となっており、内閣府の予想に比べマイナス幅は大きい。21年度は3.3%のプラス成長に転じる見通しで、内閣府試算値とほぼ同程度の回復の勢いが見込まれている。

同会議に出席した安倍晋三首相は「依然として厳しい状況にあるわが国経済をしっかりと回復軌道へ戻していくことが喫緊の課題だ」と強調し、雇用情勢をはじめ、迅速な実態の把握と、臨機応変かつ機動的なマクロ経済運営に努めていくとした。

また、「骨太方針で掲げた実行計画の策定を政府をあげて年末までに行い、来年度予算を含めて実行に移していく」と述べた。

経済見通しの詳細は以下の通り。(単位:%)

  19年度 20年度     21年度  

    1月試算 今回 第2波到来 今回 第2波到来

実質成長率 0.0 1.4 -4.5 -5.0 3.4 3.0

名目成長率 0.8 2.1 -4.1 ー 3.5 ー

完全失業率 2.3 2.3 3.2 ー 2.7 ー

             

民間消費 -0.6 1.0 -4.5 ー 4.1 ー

民間設備投資 -0.2 2.7 -4.9 ー 3.9 ー

外需寄与度 -0.2 -0.1 -1.7 ー 0.7 ー

(中川泉 編集:田中志保)