[東京 30日 ロイター] - 日立製作所<6501.T>は30日、2020年4―6月期の連結調整後営業利益(国際会計基準)が前年同期比53.1%減の583億円だったと発表した。新型コロナウイルスの影響で上場子会社が振るわなかったが、IT分野などが堅調に推移し全体の業績を支えた。

売上高は同21.6%減の1兆5942億円。河村芳彦CFO(最高財務責任者)はオンライン会見で、コロナの影響は売上高で2998億円、調整後営業利益で657億円だったと説明した。

成長分野と位置づけるITやエネルギー、インダストリー、モビリティ、ライフの各分野が堅調だった。河村氏は「ITの収益が会社全体をバックストップ(補強)している」と説明。利益の絶対額で約半分を占め、利益率でも他セクターの約倍の水準になってきていることを強調した。一方、日立建機<6305.T>と日立金属<5486.T>の上場子会社については「強くコロナに打たれ、芳しくない」とした。

純利益は、日立化成の売却益があり、同85.6%増の2232億円だった。

2021年3月期の連結調整後営業利益の予想は前年比43.8%減の3720億円で据え置いた。スイスの重電大手ABB<ABBN.S>のパワーグリッド(送配電)事業を買収して7月に発足した日立ABBパワーグリッドは、構造改革費用や無形資産の償却で初年度は営業赤字の見通し。ただ、インダストリーとモビリティーの各分野の営業利益予想を上方修正しており、これを吸収すると見ている。日立ABBパワーグリッドは22年度の黒字化を想定している。

売上高予想は、日立ABBパワーグリッドの発足を踏まえて前年比10.1%減の7兆8800億円に上方修正した。純利益予想は前期の3.8倍の3350億円で据え置いた。前期にあった一時的な損失がなくなる反動で利益が増加する。

*内容を追加しました。

(平田紀之)