(ブルームバーグ): ソフトバンクグループが出資する経営再建中のウィーワークで、国内主要テナントの楽天が撤退する。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

複数の関係者によると、楽天はフィンテック事業のため、東京都内にシェアオフィスを借りているが、8月の契約更新は行わない方針だ。約700席が空席となる。関係者1人によれば、楽天は同事業の人員を新オフィスに移すという。情報が非公開のため、関係者は匿名で取材に応じた。

ウィーワークと楽天の広報担当者はブルームバーグの取材に対し、コメントは控えるとしている。日本のテナントでは楽天に加え、出版のカドカワやソフトバンクが出資するホテル運営のOYO(オヨ)でも撤退の動きがあるが、現時点でコメントは得られていない。

不特定多数が出入りするシェアオフィス業界は、世界的な新型コロナウイルスの感染者数拡大で人の移動が制限され、厳しい事業環境に直面した。経済活動の再開後も、企業は社員間の距離や行動管理に神経質になっているほか、在宅勤務の浸透もあり、コロナ収束後も利用者が以前の水準に戻るかどうか不透明だ。

諸外国と比べ日本では、ソフトバンクなどテナントに占める大企業の割合が多く、コロナ禍での悪影響を最小限にとどめてきたが、関係者によると、オフィスの稼働率は約60%に低下したという。昨年末の東京では9割を超えていた。

一方、別の関係者によれば、リスク分散のため、企業がより広範囲に人員を配置しようという試みからウィーワークに新たな需要が生まれている。海外では、マスターカードや短編動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」を運営する中国のバイトダンス(字節跳動)が新たに顧客となった。

(5段落以降を追記します)

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