[チューリヒ/ロンドン 16日 ロイター] - スイス金融最大手UBSグループ<UBSG.S>によると、同行が抱える10億ドル以上の資産を持つような超富裕層の顧客は、3月下旬の世界的な株価急落局面でかなりの資金を株式市場に投じたが、株価が急回復する中、他の市場への資金シフトを検討している。

UBSの超富裕層顧客部門のトップ、ジョセフ・スタッドラー氏はロイターの取材に対して、3月中旬から4月中旬にかけて、富裕層向けにかなりの額の融資を行ったとし、その資金が株式市場に向かったと指摘。「例えば、顧客は米国株を購入したが、その額は5000万ドルという規模ではなく、10億ドルを上回る額だった」と明かし、その後の株価の急回復で大きな利益を得たと語った。

さらに、そうした顧客は現在、株式市場から住宅用不動産や非公開株などに資金をシフトすることを検討していると述べた。

このトレンドはアジア地域で特にみられ、今年の第4・四半期から年明け数カ月にかけて加速する見通しで、その結果、年内は株式市場の軟調が予想されると説明した。

中国本土との関係悪化など香港情勢の混乱が投資判断に影響を及ぼしているかとの質問に対しては、富裕層による香港から他の地域への資金シフトはみられないと述べた。

「富裕層顧客は、どの地域に資金を向けるかという点について、数年前に既に対応している」と述べ、そうした顧客は複数の国や地域で資金を管理し、長期的な戦略に基づき運用方法を決める傾向があるとした。