[ワシントン 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が15日に発表した6月の鉱工業生産統計は、製造業生産指数が7.2%上昇し、1947年以来73年ぶりの大幅上昇となった。予想は5.6%だった。新型コロナウイルス感染抑制策の緩和で自動車などの製造が上向いた。ただ、感染が再び拡大していることで先行き懸念が台頭している。

5月は3.8%上昇と改定はなく、2カ月連続での上昇となった。6月の水準は新型ウイルス感染拡大前の2月と比べると、なお11.1%低い水準にある。

オックスフォード・エコノミクスの米国エコノミスト、オーレン・クラフキン氏は、製造業の回復が部分的に経済再開が始まったころに比べてはるかに遅いペースで進むとし、「コロナ関連の不確実性が再燃したことで、急縮小した需要、供給網(サプライチェーン)の混乱、経済を巡る不透明感の高まりによる大きな下振れリスクが増すだろう」と指摘した。

6月は自動車・部品が105.0%と急上昇。前月の120%に続く上昇となった。ただ、新型ウイルス感染拡大前と比べると25%低い水準にある。

公益は4.2%上昇。鉱業が2.9%低下したことで、鉱業を含めた全体の鉱工業生産指数は5.4%の上昇にとどまった。前月は1.4%上昇していた。

設備稼働率は製造業部門で66.9%と、4.6%ポイント上昇。全体では68.6%と、3.5%ポイント上昇した。1972─2019年の平均は11.2%ポイント下回っている。

第2・四半期の製造業生産指数は年率換算で47.0%低下。第1・四半期は5.5%低下していた。米中貿易戦争も米製造業部門の重しになっている。鉱工業生産指数は42.6%低下。第2次世界大戦以降で最悪の落ち込みとなった。第1・四半期は6.8%低下していた。

INGのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトレイ氏は「設備投資に対するインセンティブは今のところほとんどない」とし、「これがより広範な回復の足かせになるとみられ、米経済が2022年末までに失われた生産の全てを回復すると思えない主要因だ」と述べた。

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