2020年5月、フェイスブックとツイッターがともに、従業員の永久的な在宅勤務を認める方針を発表したこともあり、リモートワークはいまや、緊急措置を超えたものになりつつある。
しかも、デジタル生まれの企業だけが、より柔軟な働き方が可能な未来に向けて準備をしているわけではない。市場調査会社グローバル・ウェブインデックス(GlobalWebIndex)が2020年4月に実施した調査によると、イギリスとアメリカで働く従業員の半数以上が、勤務先の企業は全従業員がリモートで働ける態勢を整えていると回答している。
リモートワークが長期的な現実へと変化している今、リモートワークをめぐる議論を、単なるデジタルテクノロジーの利用や、「オフィス外で働くことにうまく適応できない期間があって当然だ」といった話よりも前進させる必要がある。
リモートワークは、学んで磨きをかけられるスキルセットだと考える時代が訪れたのだ。
スキルを身に着けようとするときは必ずそうであるように、強みになりそうな性格特性をうまく活かしたり、弱みになるかもしれない性格特性を自覚したりすることは役に立つ。
そうした認識にメリットがあるからこそ、仕事場における性格診断はますます普及が進み、いまや5億ドル規模の産業になっている。
企業のマネージャーは、性格の科学を利用して効果的に人材採用を行ったり、チームワークを向上させたり、キャリアパスの見きわめに役立てたりしている。最も知られているのはマイヤーズ・ブリッグスタイプ指標(MBTI)だろうが、ほかにも利用できる性格診断はたくさんある。

有能なリモートワーカーの性格特性とは

リモートワーカーに関する世界的な調査では、リモートワークにまつわる特有の課題3つに光が当てられている。
それは、「コラボレーションとコミュニケーション」「孤独への対処」「終業後の切り替えの難しさ」だ。
こうした課題をリモートワーカーが克服するうえで役立つ性格的特性とは、どのようなものなのだろうか。
人材アセスメントテスト企業ホーガン・アセスメント・システムズ(Hogan Assessment Systems)は、特定の状況下で人がどう行動するか、その傾向を考察する性格診断を提供している。
同社のアンバー・バークハートとジョスリン・ヘイズは、有能なリモートワーカーには共通する性格特性があると考えている。(情報開示:筆者はホーガン・アセスメントの認定コーチだが、有償無償を問わず、同社システムの販売・宣伝には関与していない)。
バークハートとヘイズは2020年5月1日に投稿したブログで、次のように提案している。
真面目で計画性のある人は、信頼できる人物だとみなされる傾向がある。確実、着実、かつ速やかに仕事をこなし、協調性と効果的なコミュニケーションを促進する人物という評判を獲得する」
優しさや思いやりがあり、温厚な人は、協力関係を構築できる可能性が高い。人との関係づくりが得意で、離れて働いていても、相手と絆や信頼で結ばれた関係を作り上げる能力を備えている」
「最後に、日常的なストレスにうまく対処し、不確かな状況であっても仕事を体系化し、率先して効率よくこなす人は、自己管理に優れた人だと認識される。これはリモートワーカーとして重要な能力であり、仕事と私生活の境界を線引きするのに役に立つ」

リモートワークをうまく実践する機会を最大化する

とはいえ、リモートワーカーに適しているとされるこうした性格特性が、あなた自身の仕事のスタイルとマッチしないときはどうしたらいいのだろうか。
心配は無用だ。世界中で多くの人が、これまでとは異なる職場の環境やルールへと早急に切り替えるよう迫られている。あらゆる人が適応すべく、ともに取り組んでいることを忘れないでほしい。
リモートワークにおけるルールは、オフィスで働く際のルールと同様に、集団で築き上げられ、強化されていくものだ。そのためのプロセスには時間がかかるだろう。
バークハートとヘイズは、それまでの間にぜひともやってほしいこととして、自分のリモートワーク・スタイルと、他人から有能なリモートワーカーとして認めてもらう方法について理解を深めるために、以下のような質問を自らに問いかけるよう勧めている。
・自分にとって理想的な労働時間とは何か。雇用主が望む労働時間とは何か。

・自分のモチベーションと生産性に影響を及ぼすものは何か。

・自分にとって不可欠で重要なつながりは誰か。そうした人たちと意義ある形で協調するには、どのような計画を立てればいいのか。
要は、自分の仕事のスタイルを変えるのではない
リモートワークとは、これまでとは違う職場環境であり、そこには以前とは異なるルールと期待があることに気づくことだ
自分の行動をリモートワークに適応させる方法を知ることは、聴き手に応じてプレゼンテーションの内容を調整したり、さまざまな質問に答える際に表現を変えたりすることと似ている。
リモートワークに解放感を抱く人もいれば、あまり楽しめない人もいる。大事なのは、効率的に働き続けられるような働き方を、それぞれが作り上げていくことだ。
著者トモコ・ヨコイは、スイスの国際経営開発研究所(IMD)グローバルセンター・フォー・デジタルビジネス・トランスフォーメーションの研究員。専門は、デジタルビジネス改革とテクノロジー起業。
原文はこちら(英語)。
(執筆:Tomoko Yokoi、翻訳:遠藤康子/ガリレオ、バナーデザイン:月森恭助)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.