2回目のシフトは「自分以外のことにも責任を持つ」
1回目のメンタルシフトを経て素晴らしい仕事をする自信と技能を身につけた人は、自力で到達できるのはそこまでだということに気づくかもしれない。
【まず選択と自己責任】成功者は人生で2回メンタルシフトする
自分の力で人生をうまくいかせることは可能かもしれない。だが適切な人々の力を借りることで、人生がもっとうまくいくようにすることも可能だ。
それこそが、スティーブン・R・コヴィーが『7つの習慣~人格主義の回復~』の中で説明していることだ。最初の幾つかの習慣は1回目のメンタルシフト、すなわちコヴィーが「私的成功」と称するものを経験するためのものだ。
コヴィーがこの私的成功を経験するために必要だとしている習慣は以下のとおり。
1.主体的である

2.終わりを思い描くことから始める

3.最優先事項を優先する
これらの習慣を身につけたら、ほかの人に頼っている状態から自立した状態へとランクアップする。これが1回目のメンタルシフトだ。
同著にはさらに、自立した状態を超えて私たちを相互依存の状態に導く3つの習慣が記されている。相互依存の状態に到達すると、人生のあらゆる分野において相乗関係を経験することができる。
私が2回目のメンタルシフトと呼ぶ状態、そしてコヴィーが「公的勝利」と呼ぶ状態だ。
この公的状態を経験するために必要だとコヴィーが記している習慣は以下のとおり。
1.ウィン・ウィン(両者が利益を得る関係)を考える

2.まず理解に徹し、そして理解される

3.シナジー(相乗効果)をつくり出す
私はこれら3つの習慣を実践していない「成功者」を何人か知っている。彼らは理解に徹しようとせず、自分が理解されることだけを求める。シナジーをつくり出さずに「自分のやり方」を押し通し、自分以外の人は自分よりも劣っていると考えている。彼らはチームプレイヤーではなく、学習意欲もない。互いにとって利益にあるような関係を築くことはせず、自分以外の人のことはほとんど気にかけていない。
21世紀は女性の時代だと言われる。女性は現在のグローバルな、そしてチーム主導型の経済の中でうまくやっていくのに必要な資質の多くを自然に実践しているからだ。
平均的に見て、女性は男性よりもずっと優れたチームプレイヤーであり協力者だ。一方で男性はエゴや自己陶酔に陥りやすい。男性が栄光を求めがちなのに対して、女性は純粋に貢献したい、成長したいと考えている。
以下に挙げるのは、2回目のメンタルシフトを経た後の思考モデルの核となる要素だ
10倍思考
「成功する」ためには、自分の人生や選択に個人的に責任を持つ必要がある。それは標準を超えることだ。というのも、責任を取らないのが標準だからだ。
だが10倍思考は、単に責任を取ることとは大きく違う。この考え方は、ほかの人々もまた責任を持たなければならないという壮大なビジョンを含む。さらに、10倍思考は単純に「積極的である」よりもずっと大胆かつクリエイティブな考え方だ。
10倍思考は、年収10万ドルの目標を100万ドルに引き上げる。100人を手助けするという目標を1000人に引き上げる。あるいはページ閲覧回数1万回の目標を10万回に引き上げるという考え方だ。
こう考えると、戦略もすぐに変わってくる。
これまでよりも大きな視点でものごとを考えたければ、これまでよりも優れた(そしてもっと馬鹿げた)問いかけをするべきだ。
そうした問いかけはクリエイティブな突破口やこれまでとは異なる考え方につながるし、自然にそれまでとは大きく違う戦略的なアプローチを促してくれる。
委任する
10倍思考を始めると、全てを自分だけでやるのは無理だということに気づく。だからすぐに、自分の周りにチームを築くことが必須になる。人脈は財産だ。
チーム結成が早いほど、成果は迅速で幅広い、そして奥深いものになる。だが大抵の場合、このチームを結成するのはまだ早いように感じるものだ。
「チームを結成する」ことが何を意味するのかについて、先入観にとらわれてはならない。チーム結成は必ずしも、従来の感覚で言うところの「人を雇う」ことを意味するとは限らない。互いの利益交換を意味する場合もある。
自分とは違うニッチな目標を掲げた人々とユニークな協力を行ったり、ほかの人々が見たこともないような風変りな関係を築いたりするのだ。その協力作業が優れたものであるほど、より「不可能な」目標の達成を追求することが可能になる。
自分は自分の持っている特別な能力に集中し、周囲にいる人々には彼らの持つ特別な能力に集中して貰う。これは互いにとって利益になる関係なのだ。
人生のあらゆる領域でコラボレーションとシナジーを
マイケル・ジョーダンもこう言っている。「試合に勝つのは才能だが、選手権で優勝するのはチームワークと知性だ」
多くの人は、自分が今いるレベルでほかの人と競い合う。急成長を求める人々は、自分よりもずっと上のレベルの人と競い合う。ジョッシュ・ウェイツキン(著名なチェスプレイヤー)はこれを「失敗への投資」と呼んでいる。それよりもさらに高いレベルにある実践が、今の自分のレベルよりもずっと進んだレベルにある人とのコラボレーション(協力・共同作業)だ。
たとえば今よりもっと強く、あるいは速くなりたいなら、自分よりもずっと強くて速い人と一緒にエクササイズをするといい。素晴らしい仕事がしたいなら、自分よりも才能がある人々と一緒に働くといい。今より優れた人間になりたいなら、自分よりも優れている人とつき合うか結婚するといい。
もちろん、真の共同作業を行うには自分自身も提供できるものがなければならない。これは「手抜き」をするためではなく、集中的に成長を遂げるための作業なのだから、ウィン・ウィンでシナジーをつくり出すものでなければならない。
何をするにしても、そこに協調とシナジーを生み出す要素がなければならない。もちろん仕事は自分でやるべきものだ。だがその仕事はグループの仕事に組み込まれた、もっとずっと大きな何かを目指すものであるべきだ。
繰り返すが、1回目のメンタルシフトと2回目のメンタルシフトの大きな違いは、2回目のシフトにおいては自分以外のことにも責任を持つということだ。あなたがその場にいてベストを尽くすことを、ほかの人々は当てにしているのだから。チームに対する責任があるのだから。
休息と回復
慎重でクリエイティブかつ戦略的な思考や作業は疲れるものだ。2回目のメンタルシフトに不可欠なのは、「より少ない、だがより良い」作業だ。1回目のシフトで重要なのは作業の量であることが多いが、2回目のシフトで重要なのは質だ。
1回目のメンタルシフトを行うのに必要なのは、多くの場合、ダーツの的をめがけて数多くの矢を投げることだけ。とにかくダーツの矢を投げることが、最初のうちは大きな成果と見なされる。そのうち、それらの矢の何本かが的に当たるようになり、人々の注目を集めることができる。
だが2回目のメンタルシフトを行った人は「世界水準」の仲間入りをすることになる。重要なのは、ただ矢を的に当てることではない。常に的の中心に当て続けることが重要になってくる。
正確さ、そして質の高さが重要なのだ。
そう考えると、温存、休息と回復がきわめて重要になってくる。これは一流のレベルにある全ての人に当てはまることだ。
回復は単に肉体を休めるだけではなく、「つながり」を完全に断ち切ることも重要だ。たとえば、最近のある研究によれば、スマートフォンを絶えず使用していると仕事(や生活)の疲れがきちんと回復しないという。
人はある意味、常に自分の注意力を散漫にするものや何かとのつながりに関して「オン」の状態にある。つながりを断ち切ることがないのだ。常にスマートフォンを持っている人は多い。
しかし、スマートフォンやインターネットの使用に関しては、健全な線引きをすることが重要だ。
きちんと休息を取って回復し、生活にも仕事にも熱意を持って臨めるようにしよう。本当に2回目のメンタルシフトをしたいなら、これがきわめて重要だ。
決して学ぶことをやめてはならない
これらのメンタルシフトには、とてつもない効果がある。
人生のどの段階にあっても、さまざまなレベルでものごとの原理や原則についての理解を深めることは可能だ。
「生徒」であり続けよう。決して学ぶことをやめてはならない。
今あるパラダイムがどんなものであれ、それを壊して新しいパラダイムを手に入れよう。自分の見方を変えれば、自分が見ているものが変わる。
元の記事はこちら(英語)。
(執筆:Benjamin P. Hardy、翻訳:森美歩、バナーデザイン:月森恭助)
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This article was translated and edited by NewsPicks in conjunction with HP.