[ブリュッセル 10日 ロイター] - 欧州連合(EU)諸国が連携し、1日から実施した域外からの渡航解禁措置に早くもほころびが生じている。新型コロナウイルス感染抑制策の緩和に向けた各国独自の対応や制限によって足並みが乱れている。

EU諸国は先月末、観光や出張目的で渡航制限を1日から解除する域外14カ国の「安全リスト」について合意。日本のほか、アルジェリア、オーストラリア、カナダ、ジョージア、モンテネグロ、モロッコ、ニュージーランド、ルワンダ、セルビア、韓国、タイ、チュニジア、ウルグアイが対象。米国のほか、ロシア、ブラジル、トルコなどの解禁は見送られた。

オランダは合意に基づき14カ国からの渡航制限を解除したが、セルビアとモンテネグロについてはコロナ感染状況が芳しくないとして、禁止措置を再導入。一方、イタリアとベルギーは渡航制限の解除には動かず、渡航者への隔離措置を継続する方針を表明した。

さらにイタリアは今週、EU諸国に書簡を送り、域外からの渡航者への予防措置を厳格化するよう促したほか、ブラジルなど新型コロナウイルスの流行が深刻な13カ国からの渡航者の入国を禁止すると発表した。

EU高官は「試行錯誤しており、移動する標的を射止めるようなものだ」とし、前例にない状況で困難と語った。

また、欧州で人気の旅行先とされるスペインやポルトガルの一部地域で感染が再拡大していることで、域内にも新たな制限が導入されている。

オーストリアはブルガリア、ルーマニア、モルドバへの渡航自粛を勧告。ハンガリーはオーストリア、セルビア、クロアチア、ルーマニア、スロベニア、スロバキアとの渡航規則の見直しを発表したほか、ギリシャはブルガリアからの渡航者への規制を厳格化した。

欧州政策センターの高官は、各国の異なる措置によって域内での国境検問が再導入される可能性があるとし、「EU諸国の連携を巡り悪いイメージを与える恐れがある」との見方を示した。