[9日 ロイター] - <為替> ニューヨーク外為市場では、米国株が高安まちまちとなる中、安全資産としてのドルの需要が高まったことで、一時は4週間ぶりの安値を付けていたドルが上昇に転じた。米国で新型コロナウイルス感染拡大が続いていることに加え、米連邦最高裁判所がトランプ大統領の財務記録を開示するよう命じたことも安全需要の増大につながった。

ユーロは対ドルで1カ月ぶり高値から下落。リスク選好度が上昇している時に買われる傾向があるコモディティー通貨も対ドルで下落した。

アクション・エコノミクス(フロリダ州)のグローバル外為分析部門責任者、ロナルド・シンプソン氏は「ドル相場はここ数週間、リスク選好の度合いに左右され、ドルは安全通貨としての役割を果たしてきた」と指摘。「この日にトランプ大統領の財務記録を巡り最高裁が示した判断を受け、ドル相場が上昇、米国債利回りが低下、米株が下落するなど大きな影響が出た。今回の判断を受け、トランプ氏を巡るリスクが高まり、何らかの望ましくない結果につながる恐れがある」と述べた。

スコシアバンク(トロント)のチーフ外為ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏は「世界的な財政政策、金融政策を踏まえると、リスク情勢は当面はある程度好意的な状況が続く」との見方を示した。

主要6通貨に対するドル指数<=USD>は一時は96.233と、4週間ぶり低水準を付けたが、午後の取引で0.4%高の96.816。

ユーロは対ドルで0.4%安の1.1279ドル。一時は約1.1371ドルと、1カ月ぶり高値を付けていた。

中国人民元<CNH=EBS>は対ドルでほぼ横ばいの6.9968元。オフショア市場では6.9808元と4カ月ぶり高値を付けていた。

ドルは対円<JPY=EBS>で横ばいの107.20円、対スイスフラン<CHF=EBS>で0.3%高の0.9405フラン。

<債券> 米金融・債券市場では国債利回りが低下した。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の中、この日実施された米30年債入札では安全資産である国債への需要が根強いことが示された。

財務省によると、190億ドル規模の30年債入札は、最高落札利回りが過去最低の1.33%となった。[nAQN02SHBX]

BMOキャピタル・マーケッツのリサーチによると、この日の入札ではプライマリー・ディーラーの落札比率が17.4%で、平均の21%を下回った。

マニュライフ・インベストメント・マネジメントのシニア債券トレーダー、マイケル・ロリツィオ氏は「高品質のデュレーション(保有債券の平均残存期間)を追加することへの関心が非常に高い」と述べた。

終盤の取引では、米10年債利回り<US10YT=RR>は3.6ベーシスポイント(bp)低下の0.6168%。

米労働省が9日発表した4日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は131万4000件。前週の141万3000件からは減少したものの、需要の弱さや新型コロナウイルス感染件数の再拡大で依然として非常に高い水準だった。[nL4N2EG383]

米国株式はこの日、新型コロナ感染再拡大でロックダウン(都市封鎖)再導入の懸念が重しとなり高安まちまちとなった。

2年債と10年債の利回り格差<US2US10=RR>は46bpと、前日から約4bp縮小。一時は6月12日以来の45.8bpまで縮んだ。

2年債利回りは0.1528%と1bp未満の低下だった。

<株式> 米国株式市場は、ダウ平均株価とS&P総合500が反落。新型コロナウイルス感染が国内で再拡大する中、ロックダウン(都市封鎖)措置再導入への懸念が広がった。一方、ナスダック総合は終値での最高値を連日で更新。

米国では8日に新規感染者が6万人を超え、1日として過去最多を更新。フロリダとテキサス州では1日の死者数がこれまでの最多となった。[nL4N2EG3SM]

市場では来週から本格化する第2・四半期の企業決算発表にも注目が集まる。リフィニティブのデータによると、S&P500種構成企業の業績は前年同期比40%の減益と、2008年の金融危機以来の落ち込みとなる見通し。

チェース・インベストメント・カウンセルのピーター・タズ社長は「決算シーズンに差しかかる中、懸念されるトレンドが垣間見られる」とし、「混乱を招く結果や見通しが多く示されると予想する。コロナ危機はまだ脱しておらず、V字回復は引き延ばされるだろう」と述べた。

ドラッグストアチェーン大手ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス<WBA.O>は7.8%安。四半期決算は赤字に転落。コロナ禍による消費低迷が響き、英部門で20億ドルの減損費用(非現金)を計上した。

一方、ナスダックは過去6営業日のうち5回、終値ベースでの過去最高値を更新。この日はアマゾン・ドット・コム<AMZN.O>やマイクロソフト<MSFT.O>、アップル<AAPL.O>などが上昇を主導。電気自動車(EV)大手テスラ<TSLA.O>も最近の好調を維持し、2.1%高で終了した。

朝方発表された4日終了週の新規失業保険申請件数は131万4000件と、依然高止まりしているものの約4カ月ぶりの水準に減少し、一時株価への追い風となった。しかし、6月第3週時点で何らかの失業手当を受けていた人は3290万人と、依然高水準となっている。[nL4N2EG383]

一方、S&P総合500種の50日移動平均線が200日移動平均線を上抜ける「ゴールデンクロス」が発生し、短期的な強気相場入りを示唆した。

<金先物> 9日のニューヨーク商品取引所(COMEX)の金塊先物相場は、利益確定の売りに押され、5営業日ぶりに反落した。中心限月8月物の清算値(終値に相当)は前日比16.80ドル(0.92%)安の1オンス=1803.80ドル。

中心限月ベースで8年10カ月ぶりの高値水準となっていた反動から、チャート絡みの売りや利益確定の売りが出やすかった。また、外国為替相場ではユーロ安・ドル高に転じたため、ドル建てで取引される金塊などの商品に割高感が生じたことも重しとなった。朝方発表された米新規失業保険申請件数は市場予想よりも若干良好だったものの、市場の想定内として相場の反応は限定的だった。

市場関係者によると、金塊のチャートは強気で、今後も上昇基調にあるという。

<米原油先物> 9日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場は、米国での新型コロナウイルス感染拡大を背景にエネルギー需要減退懸念が再燃し、大幅反 落した。米国産標準油種WTIの中心限月8月物の清算値(終値に相当)は、前日比1. 28ドル(3.13%)安の1バレル=39.62ドル。9月物は1.21ドル安の39.83ドルだった。

米国ではカリフォルニア、テキサス両州など南部や西部を中心に新型コロナの感染拡大が深刻化。米ジョンズ・ホプキンス大学システム科学工学センター(CSSE)によると、7日には新規感染者が6万人を超え、1日の感染者数としては過去最多となった。また、ロイター通信の集計によると、全米50州のうち42州で最近2週間の新規感染者数がその前の2週間を上回っている。こうした中、経済活動が再び停滞し、エネルギー需要が減退するとの懸念が再浮上。原油相場は朝方から売り先行となり、一時39.27ドルまで下落した。

外国為替市場でドルが対ユーロで反転上昇し、ドル建てで取引される原油に割高感が生じたことも売りを促した。

ドル/円 NY終値 107.19/107.22 <JPY21H=>

始値 107.34 <JPY=>

高値 107.35

安値 107.11

ユーロ/ドル NY終値 1.1281/1.1285 <EUR21H=>

始値 1.1321 <EUR=>

高値 1.1348

安値 1.1281

米東部時間

30年債(指標銘柄) 17時05分 98*14.00 1.3134% <US30YT=RR>

前営業日終値 96*17.50 1.3920%

10年債(指標銘柄) 17時04分 100*03.50 0.6135% <US10YT=RR>

前営業日終値 99*23.50 0.6530%

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*26.75 0.2833% <US5YT=RR>

前営業日終値 99*25.50 0.2910%

2年債(指標銘柄) 17時04分 99*30.25 0.1528% <US2YT=RR>

前営業日終値 99*30.13 0.1550%

終値 前日比 %

ダウ工業株30種 25706.09 -361.19 -1.39 <.DJI>

前営業日終値 26067.28

ナスダック総合 10547.75 +55.25 +0.53 <.IXIC>

前営業日終値 10492.50

S&P総合500種 3152.05 -17.89 -0.56 <.SPX>

前営業日終値 3169.94

COMEX金 8月限 1803.8 ‐16.8 <GCv1><0#GC:>

前営業日終値 1820.6

COMEX銀 9月限 1896.2 ‐19.9 <SIv1><0#SI:>

前営業日終値 1916.1

北海ブレント 9月限 42.35 ‐0.94 <LCOc1><0#LCO:>

前営業日終値 43.29

米WTI先物 8月限 39.62 ‐1.28 <CLc1><0#CL:>

前営業日終値 40.90

CRB商品指数 140.4571 ‐1.5021 <.TRCCRB>

前営業日終値 141.9592