[ジュネーブ/チューリヒ 9日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)は9日、新型コロナウイルス感染拡大へのWHOの対応、および各国政府の対応を検証するための独立パネルを設置すると発表した。

WHOのテドロス事務局長によると、ニュージーランドのヘレン・クラーク元首相とリベリアのエレン・サーリーフ前大統領が新設されるパネルを率いることで合意。メンバーの選定に着手する。

テドロス事務局長は「世界中に広まったこの感染症について、引き起こした影響の甚大さに見合う真摯な評価が必要だ」とし、独立パネルは11月に開かれる年次保健相会合に中間報告を提出し、来年5月に「まとまった」報告書を公表すると明らかにした。

新型ウイルス感染拡大への対応を巡っては、トランプ米大統領がWHOは「中国中心主義」で、世界に不適切な提言を行っていると批判。国連は7日、トランプ政権から正式な通告を受けたとし、米国がWHOを来年7月6日付で脱退すると発表した。

米政府当局者はロイターに対し「WHOは物事を整理する必要があるとトランプ大統領は明確に示してきた。感染症拡大に透明性と信頼性を持って対応する能力の改善を示すことが第一歩となる」と述べた。

WHOは声明を発表し、独立パネルの設置は新型ウイルス感染拡大に対する世界的な対応を評価するよう加盟194カ国から5月に要請があったことを受けたもので、米国が示した見解に対応するものではないと説明した。

米ジョージタウン大学のローレンス・ゴスティン教授はロイターの取材に、WHOに近い国が主導する「内部調査」になってはならないと指摘。「真に独立した専門家が新型ウイルス感染症を巡る状況を真摯に精査することが必要不可欠だ」と述べた。

*内容を追加しました。