[北京 9日 ロイター] - 中国国家統計局が発表した6月の生産者物価指数(PPI)は、前年比3.0%低下した。新型コロナウイルスの世界的大流行が製造業の需要を圧迫する中、5カ月連続の低下となったが、市場予想よりも小幅にとどまった。

製造業の部分的な改善の兆しが示され、中国経済の緩やかな回復が続いていることを示唆した。

ロイターがまとめたアナリスト予想は3.2%低下、5月は3.7%低下だった。

前月からは0.4%上昇と、5月の0.4%低下から上昇に転じ、製造業部門の改善傾向を示した。

キャピタル・エコノミクスの中国担当エコノミスト、マーティン・ラスムセン氏は、PPI発表後のリポートで「原材料、工業製品、消費財の価格の伸び加速」がPPIの前月比での上昇につながったと分析。

「財政刺激策とインフラ支出はなお増えているため、経済活動と生産者物価は今後数カ月でさらに回復するだろう」とした。

一方、オーストラリア・ニュージランド銀行(ANZ)は新型コロナ流行の長期化を背景に、PPIは今年いっぱい低下が続き、平均で約2%のマイナスになると予想。

ANZの中国担当エコノミスト、Zhaopeng Xing氏は、生産者物価のデフレは和らぐ兆しがあるが、「前例のない規模の刺激策で製造業の物価が急速に持ち直す可能性には疑問の余地がなおある」とした。

中国国家統計局が先週発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は50.9と、前月の50.6から上昇し、3カ月ぶりの高水準となった。コロナ対策の行動制限の解除が国内消費の押し上げにつながっている。[nL4N2E70PJ]

PPIと同時に発表された6月の消費者物価指数(CPI)は前年比2.5%上昇し、市場予想と一致した。5月は2.4%上昇していた。

食品とエネルギーを除くコア指数は0.9%上昇と、5月の1.1%から伸びが鈍化した。

一部のアナリストは、中国の幅広い地域で今夏に起きた大規模洪水で野菜の供給に悪影響が及び、価格上昇圧力が生じる可能性を指摘している。

中国の国内総生産(GDP)は、新型コロナ感染拡大がピークに達した第1・四半期に大幅に落ち込んだが、第2・四半期はプラス成長に戻るとみられている。

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