[香港 8日 ロイター] - 不動産コンサルティング会社CBREは8日、香港の商業施設の空室率が今年下半期にさらに上昇するとの見通しを示した。海外の衣料ブランドや高級ブランドが店舗の統廃合を進めているという。

今年上半期の一等地の空室率は全体で13.5%と、4年ぶりの高水準だった。一等地の賃料は15.2%低下。年内にさらに5-10%低下する見込みという。

香港の5月の小売売上高は前年同月比32.8%減と、16カ月連続の減少となった。新型コロナウイルスの流行や反政府デモで、観光と消費が落ち込んだ。

8日付の地元紙サウスチャイナ・モーニング・ポストによると、英百貨店トップショップは香港の最後の店舗を閉鎖する計画。米国の衣料ブランド、ヴィクトリアズ・シークレットとギャップも、ここ数週間で店舗閉鎖を決めている。

CBRE香港のシニアディレクター、ローレンス・ワン氏は「香港は国際的な大手企業にとって依然として戦略的な拠点であり、賃料が下がり、将来、観光客が戻れば、再び香港で事業を展開するだろう」と指摘。海外ブランドの店舗閉鎖は、主に本国での経済的な理由によるものだと説明した。

賃料の低下を受けて、新規出店や事業拡大の動きも一部で出ているという。

同氏は、食品・飲料業界の動きが活発だと分析。過去1年で日本の回転すしチェーン「スシロー」やドン・キホーテの東南アジア仕様の新業態「Don Don Donki」が香港に進出していると指摘した。