宇多丸が時代に添いながら『アトロク』で示す、ダメさの肯定
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注目のコメント
"宇多丸:番組やパーソナリティーによってやるべきことは違うと思いますけど、僕は「コロナ期モードから戻るのが正直めんどい」みたいな、決して褒められたものではないかもしれないちょっとしたダメさや、なにか問題と向き合うときに、はっきりした意見をいえなくて、もごもご口ごもってしまうような感覚や態度を否定せずにいたいと思っていて。
そもそもカルチャーって、正しさだけを提示するものではないと思うんです。ダメさや醜さも含め、人間的な面すべてを包括するのがカルチャーだから、カルチャーを伝える番組として、正しいことだけをいおうとしたくはないんです。
もちろんいまはこういう状況だから、社会の中で気をつけなければいけないことは伝えているし、現政権のやり方に対して「さすがにこれはないだろ」って思ったときはいっています。
でも基本的にこの番組では、「ちょっと酒でも飲みましょうよ」とか「いったん馬鹿な映画でも観ようよ」って、息苦しい状況の中でも、適度に力を抜いて雑でいたり、正しさだけじゃない幅や、正気を保つためのバランスを取る方法を伝えたいと、思っているんです。"