[6日 ロイター] - 米フェイスブック<FB.O>、グーグル、ツイッター<TWTR.N>の米ネット大手3社は6日、香港当局の要請による利用者データの提供を停止したと発表した。中国政府が香港の統制を強めるための「香港国家安全維持法」(国安法)が施行されたことを受けた。

傘下に対話アプリ「ワッツアップ」と写真投稿アプリ「インスタグラム」を持つフェイスブックは発表文で、国安法の影響を精査するため、全サービスに関して当局の情報提供要請の検討を「停止する」と表明した。

アルファベット<GOOGL.O>傘下のグーグル、ならびにツイッターは、国安法が先週施行された直後に香港当局による情報提供要請の検討を停止したと明らかにした。ツイッターは同法の影響について「重大な懸念」があると説明した。

グーグルは、利用者が投稿したコンテンツに関する香港政府の削除要請については検討を続けると表明。削除要請についてツイッターはコメントを控え、フェイスブックはコメントの求めに応じていない。

また、アップル<AAPL.O>は6日、同社が香港政府から直接、利用者データの要請を受けることはないとし、香港当局のコンテンツに関する要請は、米国と香港の刑事共助条約に基づき米司法省に提出されることになっており、司法省が要請に関してレビューを行うと説明した。

その上で、国安法の精査を進めているが、同法が施行されて以降、コンテンツに関する要請は受けていないと、明らかにした。

「緊急要請」は例外と自社サイトで表明したが、アップルのデータによると、「緊急要請」は詳細な記録を取り始めた2015年から19年6月までゼロだった。

ソーシャルメディア各社は、投稿が適切なコンテンツに関する自社ルールには違反していなくても、現地の法律に違反している場合は現地の規制を当てはめることが多い。フェイスブックの透明性報告書によると、2019年下半期に香港で現地法に違反する394件のコンテンツに制限を課しており、上半期の8件から大幅に増えた。

香港ではこれまで、グーグルやツイッター、フェイスブックなどの利用を阻止する中国本土のインターネット規制が適用されていなかったため、ネット企業は比較的自由に事業を展開してきた。

全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会の会議は先週、香港国家安全維持法を可決、同法は成立した。

同法成立を受け、一部の香港住民は、民主化運動や安全維持法に関する過去のソーシャル・メディアへの投稿を見直し、警戒対象と見なされる可能性があるものを削除していると明らかにしている。

*内容を追加しました。