[シドニー 30日 ロイター] - オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)のデベル副総裁は30日の講演で、豪経済は懸念されていたよりもうまく新型コロナウイルス危機を切り抜けているとしつつ、成長への打撃は「息の長い」ものとなるため、今後数年にわたって政策支援が必要になるとの見通しを示した。

同副総裁は「先行きにかなりの不透明感がある」と指摘。「この不透明感には衛生を巡る制限が緩和される中での人々の行動対応が含まれる。将来に対するかなりの不透明感もあり、これは企業と家計の意思決定にも影響するだろう」と付け加えた。

その上で「豪中銀は低水準の借り入れコストと信用を獲得しやすい状況を維持するため現在の政策を据え置く。また、状況が正当化されれるなら追加措置を講じる用意がある」と述べた。

理事会は政策金利であるキャッシュレートの目標について、インフレ・雇用目標が達成されるまで引き上げないとのガイダンスを示している。

デベル副総裁は「インフレと労働市場の見通しを踏まえると、(利上げは)数年先となる公算が大きい」とした。

また、豪経済の4─6月期について、懸念されていたよりも幾分良好なパフォーマンスだったとしつつ、国内総生産(GDP)も労働時間も減少幅が歴史的な大きさになっていると指摘した。

さらに、景気支援に向けた財政刺激策の重要性に言及。国際通貨基金(IMF)でチーフエコノミストを務めていたオリビエ・ブランシャール氏に触れ、「債券発行拡大に伴う財政の持続可能性に関する懸念は全くない」とし、「これは経済成長が対名目GDPの政府債務比率を押し下げる作用をもたらすためだ」と説明した。

<現時点でマイナス金利は必要なし>

デベル副総裁は講演後の質疑応答の中で、マイナス金利はどの程度有効か不透明だとして、国内で必要はないと述べた。

また、新型コロナに伴う政府による財政刺激措置について、当初方針通り9月までに終了すれば「問題」になるだろうと指摘した。

*内容を追加しました。

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