【ゼロから学ぶ】がん治療の最先端はどこまできたのか?

2020/7/5
がん治療薬の研究開発は世界の製薬会社が最も資金を投じる分野であり、最新の技術を使った治療法が近年、次々と世に出てきている。
楽天メディカルの光免疫療法もその一つだ。
【三木谷浩史】「がん治療」は、ここまで進んだ
しかし未だに、人類はがんという病に打ち勝つことができていない。
がんとはどんな病気で、なぜ治療が難しいのか。そして今の治療薬開発の最前線はどこにあるのか。
アラバマ大学バーミンガム校でがん治療の研究に取り組む大須賀覚助教授が解説する。

2人に1人ががんになる時代

日本人の2人に1人が一生のうちに一度はがんになると言われています。また、世界的な高齢化などが影響して、がん患者数は増え続けており、世界中の製薬会社が研究開発費を投じて治療薬の開発に取り組んでいます。
がん治療薬の開発には、他に類を見ない規模のお金と人材、そして最新技術が投入されているのです。
その成果もあって、近年、がん治療の分野は、免疫の仕組みを応用した新薬が登場したり、遺伝子編集技術と細胞治療を組み合わせた治療法の研究が進むなど、目覚ましい進歩を遂げてきました。
一方で、がんは非常に複雑で、未だに治りにくいがんもあります。そしてなぜ、治りにくいのか、その原因もわかってきています。
今回は、そもそも「がん」とは何か、研究開発のターゲットは何なのか。そういった点に着目しながら、がん治療の開発の今をお話ししたいと思います。
(写真:iStock/Yok46233042)

がんと正常の区別は難しい

がんは、もともとは自分の普通の細胞です。正常な細胞に遺伝子変異が起きて、がん化したものが、がん細胞です。