[北京 23日 ロイター] - 中国政府系の有力シンクタンク、中国南海研究院は23日、米中の軍は両国関係が悪化する中でも対話チャンネルを維持し、衝突を回避するため行動する必要があるとの見解を示した。

米中関係は貿易や新型コロナウイルス、南シナ海での軍事活動などさまざまな問題を巡り緊張が高まっている。

ただ、同研究院の報告書は、中国政府による最近の米批判よりも穏やかな論調となっており、両国の軍事関係が悪化すれば軍事的な衝突あるいは危機に突入する可能性が高まると警告した。

報告書によると、トランプ米政権は中国と「大国間競争」を繰り広げていると語り、アジア太平洋地域に駐留する軍兵士を37万5000人に増やし、海軍の艦船の6割を同地域に配備したという。

同研究院の呉士存院長はメディア向けブリーフィングで「安定した軍事関係が二国関係の安定化要因となるべきだ」と訴えた。

報告書は双方に対し、2008年に国防省間で開設したホットラインを含む対話チャンネルを開かれたまま保つよう呼び掛けた。

政府のアドバイザーを務める南京大学国際関係研究院の朱鋒院長は同じブリーフィングで、誤った判断を避けるには対話が重要だと指摘。「対話しなければ中米関係は非常に子供じみたものになる」と述べ、「われわれはともに成熟した大国であるため、二国関係への対応で互いを感情的に批判、攻撃すべきではない」とした。

同氏は、米インド太平洋軍は2018年の編成以来、中国のカウンターパートに接触したことがほとんどないと指摘。

その上で、米国に対し、両軍兵士の交流のために、米軍主催の環太平洋合同演習(リムパック)に中国を招待するよう呼び掛けた。米国は中国の南シナ海での活動をけん制するため、18年にリムパックから中国を排除した。