[ウェリントン 18日 ロイター] - ニュージーランド(NZ)統計局が発表した第1・四半期の国内総生産(GDP)は新型コロナウイルス対策で制限された経済活動の落ち込みを反映、前期比1.6%減となり、1991年第1・四半期(同2.4%減)以来29年ぶりの大幅マイナスを記録した。前年比は0.2%減だった。

ロイター調査のエコノミスト予想中央値は、前期比1.0%減、前年比0.3%増だった。

新型コロナ対策の制限措置が導入されたのは第1・四半期の終盤だったため、コロナ危機の経済的影響の全容は同期のGDPだけでは分からないとの指摘がこれまであった。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ベン・ウディ氏は「第1・四半期中にロックダウン(都市封鎖)が適用されたのは1週間だけのため、第2・四半期はさらに状況が悪化したと見込む」と述べた。

NZ政府は先週、入国制限を除き、全ての行動制限を解除した。

NZドル<NZD=>相場はGDP統計にほとんど反応せず、0.1%安の1NZドル=0.6449米ドルで推移。

GDPの内訳は、サービス業のマイナス寄与が最も大きく、建設業と家計消費支出も減少した。

<2010年以降で初の景気後退へ>

NZのロバートソン財務相は18日、感染拡大に対うる制限措置による経済への影響は、第2・四半期に最も深刻となるとの見通しを示した。

制限措置は最近、緩和されており、これが景気回復を支える要因になるとみられているが、同国は2010年以降で初となる景気後退(2四半期連続のマイナス成長)に陥る見通しだ。

同相は「今後は2020年度予算や新型コロナ感染症対応復興基金の下で投資を進め、雇用を守り、景気の回復を支え、経済を再建することを重視する」と発言。「予想より早く経済活動を再開できたため、景気回復に向け幸先の良いスタートを切れた」と述べた。

ANZのシニアエコノミスト、リズ・ケンダル氏は「現在はロックダウン(都市封鎖)が終わり、経済活動が回復しているが、今回の危機が長期的に経済にどのような悪影響を及ぼすかは、トレンドがどこに定まるかで決まってくる」とし「現時点ではノイズが多く、先を見通せない」と述べた。

NZでは先週、国境封鎖を除くすべての制限措置が解除された。

NZ準備銀行(中央銀行)は600億NZドル(390億ドル)規模の量的緩和を続けており、今月24日の会合では政策金利を据え置くとみられている。

*内容を追加します。