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注目のコメント
「なぜ3万年前が大事なのか?」と聞かれたら、「そこにすごい祖先たちがいたから」と答えます。
現代の常識では考えられないことを成し遂げた、遠い祖先たち。
彼らの姿を追い求めた6年がかりの実験プロジェクトは、人間とは何かを問い直す素晴らしい機会となっただけでなく、科学と社会のつなぎ方も教えてくれました。記事中に出てくる「記録映像」を担当しておりました(2019年)。
この実験には本当に様々な方々が参加、協力されております。出身地や職業、経歴は多種多様、そして一人一人に意味がある。研究職、スペシャリスト、皆を支える協力者…みんなが役割を果たすために全力で取り組む。
研究職からは縁遠い、僕のような映像屋も参加させてもらえて本当に良かった…
この手法がどんなジャンルにでも波及し、手法の一部としてもっとメジャーになってくれるといいな、と願っております。3万年前の航海を再現する——。ロマンあふれる「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」について、海部陽介・東京大学教授に存分に語っていただきました。
プロジェクト自体の面白さもさることながら、クラウドファンディングによる資金集め、科学と社会のつなぎ方、古代から変わらない人間の本質など、興味深い話が幾つも飛び出し、時の経つのも忘れるほど楽しい取材でした。
人類学というとなんとなく、遺跡を発掘し、人骨や化石を分析して…と「物証」で展開していく学問のイメージがありました。でも海部さんによると、欧米の人類学では、物証だけでなく、理論も同じくらい重視されているのだそうです。
今回のプロジェクトでいえば、実験航海や当時の植生の分析などを通して、草や竹の舟の可能性を一つ一つ検証し、理論的に潰していく手法が、学問として認められている、ということですね。
研究チームは2019年末に、当時の東アジアでは竹の舟の可能性は低い、とする論文を発表し、好評を博しているそうです。
また、リーダーとして大勢かつ多様なチームをどのように率いたのかが気になり、取材時に質問したところ、後日、メールで補足の回答をいただきました。せっかくなのでご紹介します。
”チームの面々は、自分が今まで接点のなかった海の仕事や映像の仕事をしている人たちでしたので、わかり合うまでには時間がかかります。それに自分は海の素人で、それについては学ぶ立場ですから、意見を聞くことは大事でした。皆それぞれ自分のものを持っている人たちの集まりだったので、リーダーの役割はビジョンを示すことと、皆が安心して力を発揮できる場を用意することでした。特に安全対策をしっかりやることは、命がかかっている漕ぎ手にとって極めて大事なので、レスキューの専門家に入ってもらって、台湾の海で何度も訓練をしました。
そういうことを続けていれば、小さな行き違いがあっても、人はついて来てくれるのだと思います。”
実験航海に限らず、大きなプロジェクトを率いる人にとって、参考になる言葉なのではないでしょうか。
明日からは2回に分けて、研究資金のクラウドファンディングによる調達についてご紹介します。
「3万年前の航海」プロジェクトの新たなエピソードも登場するので、お楽しみに。