[香港 12日 ロイター] - 香港政府は12日、中国による香港国家安全法制定を批判する報告書を英政府が発表したことに反発し、報告書は「不正確でバイアスがかかっている」と批判した。

前日公表した香港に関する半期報告書で、ラーブ英外相は、中国が香港国家安全法を制定しようとする動きは、国際義務への明確な違反であり、香港に高度な自治を認める「一国二制度」に反すると指摘し、「中国が考え直し、瀬戸際から後退し、香港の自治と自らの国際的責務を尊重するための時間はまだある」と述べた。

また、昨年、香港で大規模で激しい反政府デモが長期にわたり実施されたことを踏まえ、混乱は中国でなく香港自ら解決にあたるべきとした。

香港政府は12日、声明を発表し、国家安全法と(香港の)高度な自治に関する英報告書の不正確でバイアスのかかった主張に断固反対すると表明。

「国家安全法が香港市民の自由と一国二制度を弱体化させるという主張は、無用な不安をあおる向きの憶測にすぎず、虚偽にほかならない」と述べた。

さらに、国家安全法の制定は、中国中央政府の権限の範囲内であり、同法は香港の安定回復と市民の権利保護に資するとした。

12日には大規模抗議デモ1周年の集会が予定されている。また週末には、学生団体と複数の労組が大規模スト実施を問う投票を行う予定。

こうした動きについて、中国政府の香港特別行政区連絡弁公室は、教育機関は「直ちに阻止すべき」と警告。「香港の教育の混乱を増幅させる意図をもつ」政治団体を非難した。

香港への国家安全法導入計画は国際社会に波紋をもたらし、英国、米国のほか、豪、カナダなどが反対を表明している。

ポンペオ米国務長官は今週、同法に支持を示した英金融大手HSBCホールディングス<HSBA.L>を名指しし、中国政府にこびへつらっても見返りは乏しいと指摘した。

*内容を追加しました。