[ロンドン 8日 ロイター] - 8日の英学術誌ネイチャーに掲載された2つの新型コロナウイルスに関する調査研究によると、ウイルス感染拡大を抑えるための都市封鎖(ロックダウン)により、多くの人の命が救われたが、全ての感染防止策を今解除するのはリスクが高過ぎると警鐘を鳴らしている。

英インペリアル・カレッジ・ロンドンは、英、独、仏、伊など11カ国が導入したロックダウンやソーシャルディスタンス(社会的距離)の効果について調べた。その結果、こうした行動制限は感染を抑えるのに「かなりの効果」があったという。

調査では、1人の感染者が平均で何人を直接感染させるかを示す実効再生産数(R)が、5月初旬までに感染拡大を抑える1未満に収まったことが分かった。

調査チームは、5月初旬までにこれらの11カ国で人口の約4%に相当する1200万ー1500万人が新型コロナに感染したと推計。

実際の死者数とロックダウンが導入されなかった場合に予想される死者数を比べた結果、ロックダウンにより約310万人の命が救われたと指摘している。

一方、インペリアル・カレッジのサミラ・バット氏は「全てが終息し、多くの人が免疫を獲得したと考えるべきでない」と述べ、「まだこのパンデミックは始まり段階に過ぎない」と強調し、全ての予防策が解除されれば、感染の第2波のリスクが現実的なものになると警告した。

また、ネイチャーに同時に掲載された別の米調査研究によると、米、中、韓、仏、伊、イランの6カ国で、都市封鎖により5億3000万人程度の感染が予防もしくは先延ばしされた。

調査を主導したカリフォルニア大学バークレー校のSolomon Hsiang氏は「感染対策が取られていなければ、4月や5月の状況は大きく異なっていただろう」とコメントした。

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