[メキシコ市 7日 ロイター] - メキシコは、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉に関わったセアデ外務次官(北米担当)を世界貿易機関(WTO)次期事務局長候補に擁立する見通し。事情に詳しい関係者が7日、ロイターに明らかにした。

WTO現事務局長のアゼベド氏(ブラジル出身)が任期を1年前倒しして辞任すると表明したため、事務局長ポストは今年8月末に空席になる。後任の事務局長には、米中関係の緊張のほか、新型コロナウイルスの世界的流行で一段と深刻化する保護主義などの難題が待ち受ける。

ロイターはメキシコの大統領府と外務省にコメントを求めたが、現時点で返答は得られていない。

セアデ氏はWTO設立時の事務局次長。ロペスオブラドール大統領が2018年に就任すると、NAFTAに代わる新たな通商協定の締結に向けた交渉を率いた。香港の大学に10年以上勤務した経歴も持つ。

WTO加盟国は、6月8日─7月8日に自国民を候補者として届け出ることができる。アフリカや欧州などから複数の候補者の名前が挙がっているが、欧州の関係者からは、事務局長が先進国と発展途上国から交互に出るべきだとの不文律がWTOにある、との指摘も聞かれる。