[東京 8日 ロイター] - 日銀が8日発表した5月の貸出・預金動向によると、銀行・信金計の貸出平残は前年比4.8%増となった。伸び率は4月の2.9%増を上回り、統計の公表開始以来の過去最高。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う事業環境の急速な悪化で、企業の運転資金ニーズが高まった。政府・日銀の資金繰り支援策も融資増につながった。

都銀等の貸出平残は6.6%増で過去最高の伸びとなった。前年比の伸び率は都銀等で4月の3.4%から5月は6.6%に、地銀・第二地銀は2.9%から3.8%にいずれも拡大、拡大幅はいずれも過去最高だった。都銀等は主として大企業に、地銀・第二地銀は主に中小企業向けの融資を積極化した。

日銀は3月以降、企業金融の支援策を打ち出してきた。5月には、民間金融機関による無利子・無担保融資を促すため、新たな資金供給手段を決めた。日銀の担当者は「中小企業も含めた資金需要にすみずみまで応えていくという効果を発揮することを今後期待している」と述べている。

もっとも、企業の事業環境は厳しく、銀行にとっては信用コストの増加が懸念材料。同担当者は「現時点では、今年度を見通しても信用コストの出方は貸出行動の大きな制約となるような規模になっていないが、実体経済の戻り方次第という面もあるので引き続き注意深く動向を見守っていく」と話した。

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(和田崇彦)