[北京 7日 ロイター] - 中国税関総署が7日発表した5月貿易統計によると、輸出はドル建てで前年比3.3%減少した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う各国の行動規制により、需要が低迷した。輸入は予想以上に落ち込み、製造業が世界経済低迷の影響を受けていることが示された。

輸出の市場予想は7%の減少だった。4月は3.5%増と、大幅な減少を見込んだ市場予想に反して増加していた。

一方、 輸入は16.7%減と、2016年1月以来の大幅なマイナスを記録し、市場予想(9.7%減)以上に落ち込んだ。4月の14.2%減からもさらに減少幅を拡大させた。

この結果、貿易黒字は629億3000万ドルと、ロイターが1981年に統計を集計して以来、過去最高となった。市場予想は390億ドル、4月は453億4000万ドルだった。

税関のデータに基づくロイターの算出によると、5月の対米貿易黒字は278億9000万ドルに拡大した。

ジョンユエン・バンクの首席エコノミスト、Wang Jun氏は「輸出は東南アジア諸国連合(ASEAN)からの需要や為替相場の下落の恩恵を受けた。一方、輸入は内需低迷やコモディティ価格の下落の打撃を受けた」と指摘した。

アナリストによると、医療用品などの輸出が好調だったが、それ以外では在庫を抱え、注文取りやめに直面する輸出業者も多いという。

税関データに基づくロイターの算出によると、5月前半に中国は632億元相当の医療用品を輸出した。3─4月の医療用品の輸出は712億元だった。

Shengrong Capital Managementの首席エコノミスト、Zhang Yi氏は「輸出は予想を上回ったが、輸出業者が直面する厳しい状況を無視すべきでない」と指摘。「今後輸入は基本的にマイナスとなるだろう。ただ、過度に悲観的になる必要はない。落ち込み幅は10%以内になるだろう」と説明し、「輸入の先行きはかなり不透明だ。内需の回復や米中の第1段階合意の履行状況に左右される」との見方を示した。

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