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2020/6/8
プロ野球、Jリーグは開幕が決まったものの、新たに選手への感染が判明し「再延期の可能性」も指摘される。新型コロナウイルス感染症拡大の影響はスポーツ界でも甚大だ。
なかでももっとも大きな衝撃を与えたのが、インターハイそして甲子園の中止だった。
専門家の見地から「中止」の判断には、どんな根拠があったと推定されるのか。また、実際に開催は不可能だったのか。
神戸大学感染治療学分野教授・岩田健太郎氏に聞いた。
──高校スポーツ界では今夏のインターハイ、甲子園の開催中止が発表されました。その根拠が主催者からもそれぞれ説明がありましたが、「本当にできなかったのか」という思いもあります。まず伺いたいのが、専門家から見て、これらの中止についてどう思われたか。そして、開催に対して、何がハードルになっていて、何がクリアされれば可能となったのでしょうか。
岩田健太郎(以下、岩田) 感染リスクをゼロにしたければ、中止にするのが一番簡単なんです。
しかしながら、そもそもリスクをゼロにする必要があるのかどうか。これはなかなか難しい問題です。
よく知られていますが、新型コロナウイルスへの感染は、症状がない、もしくは軽い症状で自然治癒してしまう方が大多数です。
加えて10代の方は、感染リスクも重症化リスクも低い。一番安全な人たちと言われています。
こう言うと「いやいや10代でも亡くなったニュースがあった」と指摘されることがあるのですが、ニュースになるということは、そういうことが滅多に起きない逆説的証左でもある。
つまり、高校生でフィットネスとして高いレベルにあるアスリートの方たちが、スポーツ活動ができないという判断は合理的ではありません。
特に、空気の循環がいい「感染リスクの低い場所である外」でできる野球やサッカー、ラグビーといった競技であればなおさらに。
──そもそもリスクをゼロにすることは不可能だと思います。
岩田 もちろんリスクはゼロにはなりません。ゼロにするかどうかのそもそも論があるなかで、一律ですべてを禁止・中止にしてしまうのは、大きな問題です。
感染症が怖いという思いはあるでしょうし、個人レベルで言うと、感染したくないという方もいるでしょう。
そういう方を無理やり参加させるわけにはいかないと思いますが、「感染のリスクは飲み込むけれど、やっぱり野球がしたい、スポーツがしたい」という(感染の可能性が低い)方たちを、外野が「疎外させてしまう」のは、あまり筋が通っていないと思います。
──では、いまの日本においてハードルになっているものはなんですか。
岩田 ハードルは新型コロナウイルスというよりも、人間の方が大きいですね。つまり風評被害です。
例えばどこかの高校の野球部で新型コロナウイルス感染者が出た、というニュースが出てしまうと、よってたかってマスメディアが大きく取り上げる。それを多くの方がソーシャルメディアなどでばらまく。
場合によっては、学校を突き止めたり、感染者の名前を探したり、親に文句を言ったり、石を投げたりと、ものすごくヒステリックなことがたくさん起きている。
今回の高校スポーツの敵は、人間だったと思います。
──人間による中止。つまり感染症対策をすれば開催も可能だった、と。
岩田 はい。
──新刊『新型コロナウイルスとの戦いはサッカーが教えてくれる』(エクスナレッジ)では、Jリーグの再開について具体的な見解を示されていますが、そこにはふたつのポイントがあったように思います。ひとつは協力体制づくり、もうひとつはコンセンサスづくり。それを今回のインターハイと高校野球に当てはめると、どう見えてくるでしょうか。
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コメント
注目のコメント
子供たちが納得し前に進み出せる、そんな環境を大人が作ってあげないといけないですよね…
大人たちは自分たちのことを本気で考えてくれていると伝われば
子供たちの捉え方や意識も変わっていくのではないかと…
現状では大人や社会に絶望感を持ってしまうのではないかと悲しい気持ちになります。。。
こちらに書かれていることを参考にして、あなたたちのことを本気で考えているという姿勢をみせていきたいです。必読。リスクをゼロにすることなんてできない。リスクの度合いを正確に分析した上で、どういう対策を取れば可能なのか、不可能なのかを考えていくべき。ヒステリックな風評は本当に害悪でしかない
岩田 ハードルは新型コロナウイルスというよりも、人間の方が大きいですね。つまり風評被害です。
例えばどこかの高校の野球部で新型コロナウイルス感染者が出た、というニュースが出てしまうと、よってたかってマスメディアが大きく取り上げる。それを多くの方がソーシャルメディアなどでばらまく。
場合によっては、学校を突き止めたり、感染者の名前を探したり、親に文句を言ったり、石を投げたりと、ものすごくヒステリックなことがたくさん起きている。
今回の高校スポーツの敵は、人間だったと思います。
──人間による中止。つまり感染症対策をすれば開催も可能だった、と。
岩田 はい。
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