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アストリット・キルヒヘアへの想い 中編

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  • ノンフィクション作家、小説家、インタビュアー

    ビートルズがデビューから間もなく世界を席巻していった大きな要員はその「ルックス」でした。
    当時は長髪と呼ばれたマッシュルームカット、アフタヌーンティーのサロンにいてマダムをエスコートするようなファッションと立ち居振る舞い。
    ビートルズはそのスタイルで、ロックという音楽のイメージを一新させてしまうのです。

    デビューの頃のビートルズのビジュアルは、デビュー前にツアーで回ったハンブルグで出会い友達になったアストリット・キルヒヘアのファッションセンスをそのまま真似たものでした。
    アストリットは自宅へ遊びに来るジョンとポールとジョージの髪を切ります。彼らは、アストリットのクローゼットから気に入った服を持ち出し、着るようになりました。
    アマチュア時代の革ジャン、リーゼントスタイルから脱却したビートルズのセンスは、レコード会社のプロモーションと相まって、世界をステージで脚光を浴び、世紀のアイドルが誕生していくのです。

    アストリットは、ビートルズを脱退しハンブルグに残って美大生となった婚約者のスチュワート・サトクリフの「スタイリスト」となって彼のファッションを磨いていきました。
    それはそのままビートルズのメンバーの手本になります。
    スチュワートをモデルに撮影を続けるアストリット。そんな幸福な日々はわずか2年しか続きませんでした。

    スチュワートの死の直後メジャーデビューしたビートルズは、やがてアストリットとは別の世界の住人となっていったのです。

    note「月刊小松成美」アストリット・キルヒヘアへの想い 中編


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