(ブルームバーグ): ソフトバンクグループの孫正義社長の2019年度報酬額は減少した。29日に公表された定時株主総会資料で明らかになった。一方、巨額赤字を計上したビジョン・ファンドを率いるラジーブ・ミスラ氏の報酬は倍増した。

総会資料によれば、孫社長の基本報酬や株式配当などを合わせた連結報酬額は2億900万円で、賞与はゼロ。18年度の合計は2億2900万円だった。ミスラ副社長は16億600万円で、前年度の7億5200万円から2.1倍となった。最高額はマルセロ・クラウレ副社長の21億1300万円。米ゴールドマン・サックス出身の佐護勝紀副社長は11億1000万円だった。

ソフトバンクGの前期(20年3月期)純損益は創業以来の赤字となった。ビジョン・ファンドの投資先の公正価値減少が響き、投資事業の営業損益は1兆9313億円の赤字に転落した(前の期は1兆2566億円の黒字)。ミスラ氏は同ファンドの責任者。

ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミストは、「パフォーマンスを上げられず、結果を出せなかった経営陣について続投すべきか、また報酬の透明性と妥当性について総会で議論すべきであろう」とし、「全ては株主が判断すべきことだ」と述べた。

総会資料からはみずほフィナンシャルグループなど金融機関からの借り入れが大幅に増えたことも分かった。みずほ銀行からの借り入れは3月末時点で9123億円と、1年前から約3100億円増加した。三井住友銀行も6606億円、三菱UFJ銀行は4258億円、ドイツ銀行は2579億円とそれぞれ前年から増えた。

ビジョン・ファンドなど投資業務に携わる人員は474人と、前年の297人から増加した。関係者への取材によると、ソフトバンクGはビジョン・ファンドで10%程度の人員削減を検討している。過半数がロンドンの本部で勤務し、サンフランシスコや東京などにも拠点がある。

ソフトバンクGの定時株主総会は6月25日に開かれる。ソフトバンクGの株価は4月以降、約3割上昇し、日経平均株価の上昇率(16%)を上回っている。

(会社側の訂正を受け、みずほ銀と三菱UFJ銀の借り入れ額を訂正します)

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