[チューリヒ 27日 ロイター] - 世界の中央銀行でつくる国際決済銀行(BIS)のカルステンス総支配人は27日、世界的な高債務に対処するため、積極的な措置からの出口戦略を「できるだけ早く」策定し、金融政策の正常化に取り組まなければならないとの見方を示した。

UBS主催のオンライン討論会で、低調な経済回復と高水準の債務は2008─09年の金融危機以降続いており、完全に克服しきれていないと指摘。「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)によって引き起こされたリセッション(景気後退)は、この再構築プロセスに歯止めをかけている」とした上で、「債務の増加が予想されるため、将来のある時点で金融政策が新たに正常な状態に戻るよう追加の取り組みが必要だ」と述べた。

中銀や政府による新型コロナ対策は推定で世界の域内総生産(GDP)の約17%に当たる15兆ドルに上り、カルステンス総支配人はこのような措置がパンデミックによる「破滅的な」影響を防ぎ、今後の回復を支援していると強調。ただ「非常に早い段階で、どのような出口戦略が実行可能なのか検討を始めるべき」とし、出口戦略を可能な限り迅速に策定することが求められるとした。また「各国中銀はある時点で、現行の措置が永遠に続くわけではないというメッセージを送る必要がある」と語った。

世界的な低成長に関しては、貿易と経済成長を促進するために開放的な国境を維持するよう要請。米中間の緊張は世界経済の負担になるとした。