[香港 27日 ロイター] - 香港中心部では27日、中国が制定を目指す「香港国家安全法」への抗議デモが行われ、市民数千人が参加した。これに対し警察は催涙弾を使ってデモ隊の強制排除に乗り出し、違法な集会を開催した容疑で360人を逮捕した。

この日、中国の国歌を侮辱する行為を処罰する国歌条例案の審議も予定されていた立法会周辺には警備隊が配備され、厳重な警備体制が敷かれ、多くの店舗や銀行などが時間を繰り上げで閉店した。

金融街での抗議活動が収束した後、昨年の反政府デモの舞台となった九龍半島の旺角地区に市民が集まり「香港を開放せよ」などと抗議の声を上げた。

香港メディアはこの日、中国政府が香港国家安全法の適用範囲を個人だけでなく組織にも拡大したと伝えた。

国歌条例案は、違反者に3年の禁錮刑や罰金5万香港ドルを科す内容で、6月に成立するとみられている。

中国や香港の当局は、国家安全法が制定されても香港の高度な自治は保障されると繰り返し主張している。香港政府ナンバー2の張建宗(マシュー・チュン)政務官は記者団に対し「国家安全法は香港や中国の長期的な安定に資するものであり、集会や言論の自由、さらには金融センターとしての地位に影響しない」と強調した。

一方、米政府はこうした事態を重く見ており、トランプ大統領は26日、今週中に強力な対応を発表すると述べた。

こうした中、台湾の蔡英文総統は、香港で民主化を求めるデモに関与している人々に人道援助を提供するための計画を策定すると表明した。

*内容を追加しました。