[ロンドン 20日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した4月の消費者物価指数(CPI)の前年比上昇率は0.8%となり、3月の1.5%から大幅に減速して2016年8月以来の低水準を記録した。

新型コロナウイルスの感染拡大を抑制するための封鎖措置を受けて小売業者が値下げに動いたほか、石油価格の急落や水道・電気料金の低下も影響した。

ロイター調査によるエコノミスト予想は0.9%だった。

前月比では0.2%低下した。

イングランド銀行(英中銀)は、インフレ率が今後数カ月間、1%を下回る可能性があるとしている。ブロードベント副総裁は、年末あたりにゼロ%を下回る可能性を指摘したが、それを機に長期のデフレ局面に入るとはみていない。

ONSは今月、封鎖措置で各品目の価格データの収集に支障が出ておりインフレ指標にぶれが生じる可能性があると説明していた。

4月は、光熱費、ガソリンを含む輸送費、衣料、靴の価格下落がCPIを押し下げた。外出禁止で打撃を受けた衣料小売りは値下げを強化したことが背景。

一方、ビデオゲーム機やゲームソフト、盤上ゲーム、玩具、生鮮食品はCPIを押し上げた。

エネルギー、食品、アルコール、たばこを除外したコアインフレ率は前年比1.5%上昇で前月とほぼ変わらず。

小売物価指数は前年比1.5%上昇で、前月(2.6%上昇)から減速した。

市場関係者は、英中銀が年内にマイナス金利導入に踏み切る可能性があるとみている。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ルース・グレゴリー氏は、新型ウイルスのパンデミック(世界的な大流行)がもたらすいかなるインフレ圧力も需要の減退を相殺するには至らず、基調的な物価上昇は抑制された状態が続くと指摘。「これを背景に、英中銀は一段と量的金融緩和を拡大すると予想している」と述べた。

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