[ベルリン 20日 ロイター] - 中国は、昨年の対ドイツ直接投資案件数でトップ3から外れた。データ集計を開始した2009年以来初めてで、中国政府が国内経済の支援にシフトしたことが要因とみられる。

ロイターが入手したドイツ貿易・投資振興機関(GTAI)のデータによると、ドイツへの直接投資案件数で中国は米国、英国、スイスに次いで4位となった。

GTAIのロバート・ヘルマン総裁は、中国の4位転落について、インフラ整備や研究・開発への投資で国内の景気刺激を図る中国政府の政策に関連したものだと分析。「中国政府は資本輸出を規制し、国内投資の強化に力を入れつつある」と語った。

データによると、昨年の対ドイツ直接投資プロジェクトは、米国が302件で引き続き首位。英国が185件、スイスが184件で続いた。

2018年に3位だった中国は4位に転落。代わりに、18年に4位だった英国が2位に浮上。英国の欧州連合(EU)離脱でEU単一市場へのアクセスが難しくなると懸念した企業が、欧州最大の経済規模を持つドイツに子会社を設立したことが背景にある。

データによると、ドイツに昨年移転した外国企業は、前年比10%減の1851社だった。だが、これらの企業が生み出す予定の雇用は倍近くの4万2000人に増えた。

ヘルマン氏は、外国の自動車・バッテリーメーカーが、外国直接投資による雇用ブームをけん引していると指摘した。

米テスラ<TSLA.O>はベルリン郊外に欧州工場を建設予定、中国の吉利汽車はフランクフルト近郊に研究開発センターの建設を希望しているほか、中国のバッテリーメーカー、中国の寧徳時代新能源科技(CATL)<300750.SZ>はドイツ東部への工場建設を計画している。

GTAIは、新型コロナウイルス流行に伴う世界経済の悪化により、今年の対ドイツ外国投資は減少すると見込んでいる。