[ワシントン 17日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、米経済の回復プロセスは来年の終わりまで長引く可能性があるとし、完全な景気回復は新型コロナウイルスのワクチンが開発されるかどうかに左右されるとの認識を示した。

米経済にとって現在最も重要なデータは、感染状況を巡る「医学的な指標」だとしたほか、企業や家計に対してさらに3─6カ月間の政府支援が必要になる可能性があるとの見方を示した。

パウエル議長は17日夜に放送されたCBSの番組「60ミニッツ」のインタビューで、米経済再開の成功を左右する重要な要素として医療面の問題に繰り返し言及した。州・地方政府が社会・経済活動の制限緩和に乗り出す中、国民は対人距離を確保する「ソーシャル・ディスタンシング」のルールを守ることで、この局面を「助け合いで乗り越える」必要があると訴えた。

その上で「思慮深く慎重に経済活動を再開し、ソーシャル・ディスタンシングの措置を継続するとともに、感染の再拡大回避のためにできる努力をすれば、回復はかなり早期に始まる可能性がある」と述べた。

ただ、最善の状況でも長い道のりになるとし、一段の雇用減少が6月まで続く可能性が高いと指摘。回復の「加速」には時間がかかるとし、旅行や娯楽など経済の一部セクターはワクチンが開発されるまで圧迫が続く可能性もあるとの見方を示した。

失業率は25%まで上昇する可能性があるとし、第2・四半期の国内総生産(GDP)は年率で20%減少する可能性があるとの見通しを示した。ただ、長期的な恐慌のような状態になるとは見込んでいないと述べた。

パウエル議長は「経済は回復する」とした上で、「時間がかかるかもしれない。来年の終わりまで長引く可能性がある。本当に分からない」と語った。

また「新型コロナウイルス(感染)の第2波が起きないと想定した場合、経済は今年下期を通じて着実に回復するだろう。経済の完全な回復には国民の十分な信頼感が必要で、それにはワクチンの開発を待たなければならないかもしれない」と述べた。

パウエル議長は、FRBと米議会は経済への追加支援が必要になる可能性があるとの見方も示した。

米議会は3月以降、新型コロナによる経済への打撃に対応するため約3兆ドル規模の支援を決定し、追加対策の必要性について現在検討している。FRBも企業や金融市場の機能維持を支援するとともに、個人や企業の破産を防ぐため一連の措置を実施している。

パウエル議長は、保健当局が感染抑制に取り組む間、「個人や企業の破産をさらに3─6カ月間回避することで、時間を稼ぐことができる。そうした支援が適切かもしれない」と述べ、より長期にわたる支援が必要になる可能性に言及した。

FRBについては「政策手段は尽きていない」とし、既存プログラムの拡大や新たな措置の追加が可能だと指摘。「(手段は)決して尽きていない」と語った。

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