[ニューヨーク 15日 ロイター] - 今週の米株式市場は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で停止した経済活動を再開する動きや貿易摩擦の拡大を背景に、値動きの激しい展開となる見通しだ。

投資家の不安心理を示すシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー・インデックス(恐怖指数、VIX)<.VIX>は、週間の上昇率が約2カ月ぶりの大きさとなった。VIX指数先物も大きく上昇しており、特に6月限にリスクの高まりが織り込まれている。

直近の株価下落が4月の株高を受けた利食い売りなのか、長期的な下落局面の始まりなのか、今後数週間でより明確になる可能性があると投資家は指摘する。

市場関係者の多くは、全米各州が感染の再拡大を回避しながら経済を再開できるかどうか注視している。15日にはニューヨーク、バージニア、メリーランド各州の一部地域で制限が緩和された。

サスケハナ・フィナンシャル・グループのデリバティブ戦略共同責任者クリス・マーフィー氏は、経済活動再開を巡る懸念はVIX指数先物曲線に反映されているとし、投資家は夏場ではなく向こう数週間にボラティリティーが高まると見込んでいると指摘した。

こうした中、トランプ米大統領は中国との関係を絶つ可能性を示唆するなど、対中強硬姿勢を強めている。15日には米商務省が、中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)[HWT.UL]への半導体輸出規制を強化すると明らかにした。

ボストン・プライベートの最高投資責任者シャノン・サコシア氏は「市場に現実の波が押し寄せている」と語った。

投資家は米財務省が20日に行う20年債入札も注視している。同省は4─6月期に約3兆ドルを借り入れる見通しだ。

一部の投資家は、一段の株価下振れの可能性を踏まえ、株式をややアンダーウエートにする可能性が高いとしている。

ナティクシス・インベストメントのデーブ・ラファティー氏は最近の株高について、経済活動が再開されても事業所の稼働レベルは通常を下回るという可能性を織り込んでいなかったとの見方を示し、「最悪期と比べれば力強い成長回復が見られるだろうが、しばらくは標準に届かない状況が続く。株価にそれは織り込まれていない」と語った。