[ワシントン 15日 ロイター] - 米商務省が15日発表した4月の小売売上高は前月比16.4%減と、統計を開始した1992年以来の大幅なマイナスを2カ月連続で更新した。新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた外出制限が響いた。第2・四半期の米経済成長は1930年代の大恐慌(グレート・ディプレッション)以来最大の縮小となる見通し。

市場予想は12.0%減だった。前年同月比では21.6%減だった。

3月は当初発表の8.7%減から8.3%減に改定された。

MUFGのチーフエコノミスト、クリス・ラプキー氏は「これほどまでの急激な落ち込みは単なるリセッションではなく、不況とも呼べない」とし、「粛然たる状況だ」と述べた。

自動車とガソリン、建材、食品サービスを除いたコア売上高は前月比15.3%減だった。3月は3.1%増。コア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も大きく連動するとされる。

内訳では、自動車・部品が12.4%減、ガソリンスタンドが28.8%減と落ち込みが目立った。

レストランなどの外食サービスは29.5%減少し、15年ぶりの低水準。スーパーなどの食料品店も13.2%減だった。

衣料品は78.8%減、電子・電化製品は60.6%減、家具も58.7%減だった。

一方、インターネット通販などの無店舗小売業は8.4%増加し、唯一のプラスとなった。

JPモルガンのチーフ米国エコノミスト、マイケル・フェローリ氏は「州別の制限措置を踏まえると、小売売上高は4月に底を打ったという予測が妥当だろう。5月には小幅な増加に転じる可能性がある」と述べた。同時に「重要なことは消費支出が夏に活性化するかどうかだが、懐疑心は根強い」とした。

先週発表された4月の雇用統計は景気動向を敏感に映す非農業部門の就業者数も前月から2050万人減少し、減少幅が過去最大になった。この日の小売統計は経済が悪化していることを改めて示した。アナリストは持ち直しに数年かかる可能性があると警告しているほか、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長も13日、米経済は「長期にわたり」成長が低迷し所得も停滞する恐れがあると述べた。

州・地方政府が規制を緩和する中、全国各地で経済活動が再開している。ただ事業運営は稼働能力を大幅に下回っているほか、新型ウイルスの感染拡大の「第2波」を警戒し、消費者がショッピングモールへ足を運ばないとの不安も漂っている。

PNCファイナンシャルのチーフエコノミスト、ガス・フォーシャー氏は「個人消費が米経済全体の3分の2を占める事実を踏まえれば、第2・四半期の実質国内総生産(GDP)が大恐慌の最悪時を超える落ち込みとなる公算が大きい」と予想した。

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