[15日 ロイター] - 半導体受託生産世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)<2330.TW>は15日、米政府との「強力なパートナーシップ」によりアリゾナ州に半導体工場を建設すると発表した。総工費は120億ドルを見込む。

トランプ米政権は製造業を海外から米国に移転させる取り組みを進めている。

TSMCの発表によると、新工場では回路線幅が5ナノメートルの最先端半導体を製造する計画で、最大1600人の雇用創出を見込む。2021年の着工を予定し、生産能力はウエハー換算で月2万枚となる見通しという。TSMCはワシントン州にも工場を持つ。

TSMCは「このプロジェクトは、主要な米企業が国内で最先端の半導体関連製品を製造できるような活力と競争力のある米半導体関連産業の生態系のために極めて重要で戦略的な意義を持つ」とし、「米政権との強力なパートナーシップ」によるものだと強調した。

発表を受け、TSMCの株価は午前の取引で1.5%超上昇した。

同社は米アップル<AAPL.O>のスマートフォン「iPhone」向け半導体も生産する。

半導体は家電だけでなく防衛装備品でも重要な役割を果たす。新型コロナウイルスの発生源を巡り米中の溝が深まる中、米当局者の間では、最先端の半導体の大部分がアジアで製造されていることに懸念が強まっている。

トランプ政権はTSMCのほか、米半導体大手インテル<INTC.O>とも米国内での工場建設について協議を進めてきた。ただ、インテルは受託生産ではなく自社製半導体のみを供給しており、顧客側にあたる企業とも競合する可能性があったという。[nL4N2CW50C]