[ジュネーブ/ブリュッセル 14日 ロイター] - 世界貿易機関(WTO)のアゼベド事務局長は14日、来年8月末の任期満了を待たず、今年8月で辞任すると発表した。新型コロナウイルス感染拡大で世界的に緊張が高まる中、WTOが加盟国間の対応の調整に苦慮する中での突然の辞意表明となった。

アゼベド事務局長は加盟国とのテレビ会議で、辞任は「個人的な決断」とし、健康上の理由でも、特定の政治的な目的のためでもないと説明。「WTO加盟国は新たなリーダーの下で新型ウイルス感染終息後の世界に対応するためのアジェンダ策定に着手する必要がある」とし、自身が辞任することがWTOのためになると考えたと述べた。

アゼベド氏はブラジル出身の62歳。2013年に事務局長に就任し、現在2期目を務めている。新型ウイルス感染拡大による危機の初期から、各国に対し食料や医療用品などに輸出規制を設けないよう呼び掛けていた。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、アゼベド氏の後任探しは難航するとしながらも、米国は後任選定の過程に参加すると表明。欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフィル・ホーガン委員(通商担当)は、WTO改革が必要との声が高まる中、次期事務局長の選定は年内に行う必要があるとの考えを示した。