[シドニー 14日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が発表した4月の雇用統計は、就業者数が前月比59万4300人減少し、過去最大の落ち込みを記録した。アナリストは57万5000人減少すると予想していた。新型コロナウイルスの感染を抑制するための封鎖措置が直撃した。

30年近くにわたって成長が続いてきたオーストラリア経済が新型コロナによって甚大な影響を受けたことが浮き彫りになった。

新型コロナの発生源調査などを巡って悪化する豪中関係も、経済への影響が懸念されている。

4月の失業率は前月の5.2%から6.2%に急上昇し、2015年9月以来の高水準となった。アナリスト予想(8.3%)ほどは悪化しなかったが、政府が雇用維持のため導入した助成金を受け取っている人を含め、職探しをしている人が大幅に減ったことが主因だ。

統計局は雇用維持向け助成金を支給されている人を含めると失業率は9.6%で、1997年以来の高水準になるとした。

モリソン豪首相はテレビ放送された記者会見で「きょうはオーストラリアにとって、とても辛い1日だ」と述べ、「予想外のことではないが、ひどくショッキングだ」と語った。

豪準備銀行(中央銀行、RBA)は8日に公表した四半期金融政策報告で、失業率が6月までに10%まで上昇し、2021年を通じて約7.5%にとどまると予想しており、雇用は今後さらに悪化することが見込まれる。

新型コロナの感染を抑制するため、オーストラリアは3月に国境を封鎖するとともに社会的距離を確保する厳しい規則を導入。人々は不要不急の外出を禁じられ、パブやスポーツジム、図書館などは閉鎖され、カフェやレストランのサービスはテイクアウトのみに限定された。

こうした措置が奏功し、オーストラリアの新型コロナ感染者は累計約7000人、うち死者は98人で、欧米諸国に比べてはるかに少ない。

モリソン首相は8日、新規の新型コロナウイルス感染者が1日当たり20人を下回ってきたことを受け、感染の抑制継続を前提に3段階に分けて7月までに経済活動を完全に再開する計画を発表した。

フライデンバーグ財務相は12日、多くの新型コロナ感染抑制対策が7月までに解除された後、豪経済は毎月94億豪ドル(61億米ドル)押し上げられるとの試算を示した。

モリソン首相は14日、経済再開に向けた計画を進める重要性を改めて強調した。

*内容を追加しました。