吐き気を催す邪悪を主人公にした読むストロングゼロ全43巻「連ちゃんパパ」の感想
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全巻一気読みしてしまった。妻の失踪をきっかけにパチンコにはまった挙げ句、自ら借金取りになり他人を滅ぼして笑うパパがホリデー感溢れるほのぼの絵で描かれる実にヤバいマンガなのだが、ちょうど今風呂に入るたびに一話ずつ読んでる「デカメロン」とかも清々しくなるレベルのクズ頻出の鬼ストーリーであり、古典からマンガから人類のエンタテインメントのある部分は確実にクズ描写のキレが支えてきたんだなということを改めて想起してしまう。
「連ちゃんパパ」はサブキャラまでが一様にクズっぷりを発揮しており共感できるキャラがほとんどいないのが「地獄」と言われる所以だが、多くのキャラクターが小市民的で人間的弱さゆえのクズさを発揮しているのに対し、社会的強者といえる財閥経営者が敬虔なキリスト教徒として描かれ、しかしながらいったん状況が変われば主人公たちを見離すある種の「偽善者」として描かれているのもわりと深いテーマ性を醸し出していると言え、興味深い。