3000人を看取った医師が教える「80歳以上が今すぐやるべきこと」
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本当にこのことが広まって欲しい。
救命医療の現場で、どれだけの高齢者の心肺蘇生をしていることか。医療者からみて、回復の見込みがほぼなくても、「明確な蘇生拒否の意思表示」がない限り、医療者は蘇生行為を行わなければなりません。
蘇生行為、と一言で言いますが、それは半ば暴力的行為でもあります。意識のない人の胸を、肋骨が折れるほどの力で押し続け、喉に管を入れ、無理矢理心臓を動かす劇薬を4分ごとに投与し、時には電気ショックをする。
結果として、胸には痣ができ、皮膚は剥け、肋骨が折れて肺に出血し、時には気管挿管のチューブから血液が逆流する。
現場で蘇生に関わる医師として、正直に言います。高齢者の心肺停止は、殆どが蘇生しないか、一旦心拍が戻っても数日のうちに亡くなります。その間、意識が戻ることはありません。
「人は生涯にかかる医療費の大半を死亡直前に使う」という言葉すらあります。
死に瀕した親族をいきなり目の当たりにした家族が、蘇生行為の中止を決断するのは非常に難しいことです。ともすれば「見殺し」に思えるからです。医療者からしたら望みの無い蘇生でも、家族にとっては一縷の望みなのです。多くの場合で、特に家族が若い場合、蘇生行為の継続を望むのが現状です。
現在、緩和ケアの対象となる患者のほとんどががんの患者です。しかし、亡くなる疾患はがんだけでは無い。心臓病や腎臓病はじめ、高齢まで元気な方でも、いつでも突然亡くなるリスクは高いのです。
緩和ケアという言葉や環境に触れれば、「死の迎え方」を考え、議論することにもなりますが、その環境にすらたどり着かない方がまだまだ多いのです。
ぜひご家族と話し合ってください。60になったら必ず話し合ってください。極論言えば、年齢なんて関係なく話し合うべきなんです。20代であっても、5分後にあなたが死に瀕している確率は、決して0ではないのです。