[12日 ロイター] - 米ワシントン大学保健指標評価研究所(IHME)は12日、モデル分析に基づき、8月初旬までの米国での新型コロナウイルス感染による死者数が14万7000人超に達すると予測した。前回予想から1万人近く引き上げた。ロックダウン(都市封鎖)措置緩和の影響などを反映した。

IHMEは、リポートで「検査やモビリティ(移動)に関する変更、対人距離確保政策の緩和などウイルス感染の重要な要素」を反映したと説明した。

ロックダウン措置の解除を急げば、新型コロナ感染の第2波を招くリスクがあると国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長らも警鐘を鳴らしており、IHMEの死者数予想引き上げは公衆衛生上のリスクに対する新たな警告となる。

ファウチ氏ら医療専門家は、検査や感染者との濃厚接触者追跡の体制拡充などの安全対策が整う前に事業活動の規制緩和に踏み切ることに注意を促している。

IHMEは、規制緩和による影響を正確に把握することは困難と指摘。「封じ込め措置が完全に強化されていない場合は特に、ウイルスにさらされて感染するまでや疾患の進行に時差が生じるため、社会的距離確保政策の緩和による全般的な影響を完全に把握するには数週間かかる可能性がある」との認識を示した。

ロイターの集計によると、米国の新型コロナ感染者数は136万人超で、死者は8万1000人近くに上っている。

IHMEの最新の予測では米国の死者数は8月4日までに14万7040人に達する見通しで、10日に示した前回予想を9856人上回る水準。

この数字は予想レンジの平均で、死者数は最善のシナリオでは10万2783人、最悪のシナリオでは22万3489人が見込まれている。

IHMEは1週間前の予想では約30州の規制緩和による影響で死者数は約13万5000人に達する見込みとし、4月29日に示した予想からほぼ倍に引き上げていた。

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