[11日 ロイター] - 米シカゴ地区連銀のエバンズ総裁は11日、新型コロナウイルスによる打撃を受けた国内経済が年前半の急激な落ち込みを経て年後半は成長に転じるとの見方が「妥当」だが、回復のペースの回復は緩慢で業種によって異なる公算が大きいという考えを示した。

総裁は「新型コロナの試験や追跡の進展次第だが、社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)の確保は今後もかなりの長期間継続を要する可能性がある」と指摘。「こうした環境で、政策当局や財界トップ、家計は持続的な経済活動を巡って四半期ごとに考えを改めていく必要がある」と述べた。

また年後半は感染の再拡大や経済の再封鎖といった当初の悲観論よりも成長が回復する可能性の方がやや高いというのが自身が予想する基本シナリオだとした。

新型コロナの制限措置を巡っては、大半の州で自宅待機がある程度緩和されているが、各業種の営業再開についてはジョージア州のように積極的な州もあれば、カリフォルニア州のように消極的な州もある。

総裁は、連邦準備理事会(FRB)による利下げや債券買取などの措置は景気の下支えにつながっているものの、一段の対応が必要になるとの認識を示した。

FRBは事実上のゼロ金利を「かなりの長期間」継続する見通しだが、日銀や欧州中央銀行(ECB)などのようにマイナス金利を導入する見込みはないとした。また今後数年はインフレが高進する可能性は低く、金利が低水準にとどまる間は連邦政府にとって企業や家計を支援するための適切な借入時期になると述べた。