[リヤド 11日 ロイター] - サウジアラビアは、原油価格の急落や新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響で打撃を受けている国家財政を強化する取り組みの一環として、生活費手当の停止や付加価値税(VAT)引き上げを実施する。国営通信が11日、政府の声明を伝えた。

生活費手当は6月1日に停止され、VATは7月1日に現在の5%から15%に引き上げられる。

世界最大の石油輸出国であるサウジは原油価格の急落で厳しい状況に直面する中、新型コロナ感染防止策によりハンマド・ビン・サルマン皇太子が掲げる経済改革のペースや規模が抑制される見通しとなっている。

第1・四半期の財政収支は歳出が歳入を上回り、90億ドルの赤字となった。

ジャダーン財務相は声明で「これらの措置は痛みを伴うが、中長期的な財政・経済の安定維持や、新型コロナによる打撃を最小限にとどめ、この未曾有の危機を克服するために必要だ」と説明した。

また、経済活動の停止・鈍化により非石油収入が影響を受ける一方、ヘルスケア部門に予期しない負荷がかかり、景気支援策により歳出が増加したと指摘。「これらの課題が歳入の減少につながり、国家財政が、中長期的な経済全般に影響を及ぼしかねないレベルにまで圧迫されている」とし、「さらなる支出削減や非石油収入安定維持に向けた措置が必要だ」とした。