【宮田裕章】コロナ危機、「日本の民主主義」が問われている

2020/5/11
新型コロナウイルスの流行は、社会と経済のあらゆる前提に影響を与えている。
人が密集する空間のリスクが露呈し、飲食店や教育現場は転換を余儀なくされ、航空業界をはじめ盤石だと思われた企業の業績が揺らぎ始めている。
現在は感染爆発を防ぐべく、医療関係者や行政が懸命になって対策に当たっている最中だが、危機が一段落したときに誰もが気になるのが「仕事は、教育は、コロナ以前の状態に戻るのか?」という点だ。
医療分野におけるデータサイエンスなどを専門とする慶應義塾大学教授の宮田裕章氏は、「元のままの日常へは戻らない」と語る。その上で、「この点を踏まえて未来を考えるところから、コロナ後の世界の構築が始まる」と述べる。
では具体的に、コロナ後の世界はどのような姿をしているのか。
NewsPicksの番組「WEEKLY OCHIAI」にも毎週出演し、冷静かつ誠実な語り口で支持を集める宮田氏に、最新のコロナに対する見解と、その先に見据える「新しい日常」の姿について、見解を寄せてもらった。(一部内容を加筆し、改題いたしました)

未解明な地域差「油断できない」

──5月9日現在の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の現状について、見解をお聞かせください。
COVID-19が世界中で猛威を振るってから、既に数カ月が経過していますが、現時点ではこのウイルスの実態をまだ明確に捉えることができていません。
例えば日本をはじめとするアジア諸国や東欧諸国は、アメリカ、西欧諸国に比べて低い死亡率にとどまっていますが、感染症対策や医療制度以外にも様々な要因があり、なぜこのような地域差があるのかについての背景についても、まだ判明していません。