[シドニー 7日 ロイター] - オーストラリア連邦統計局が7日発表した3月の輸出額は前月比15.1%増加する一方、輸入額は同3.6%減少した。鉄鉱石や金の輸出急増を背景に貿易黒字は174%増加して過去最高の106億豪ドル(67億9000万米ドル)となった。ロイター調査による市場予想の68億豪ドルを大幅に上回った。

この結果、今年第1・四半期の貿易黒字は前期比41%増の190億豪ドルとなった。

3月の鉄鉱石輸出は3割増えて116億豪ドル。サイクロンによる打撃から立ち直り、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で停止していた中国の工場が再稼働したことから急増した。

石炭や液化天然ガス(LNG)の輸出も大幅に増えたが、特に金が225%増の36億豪ドルと際立って増加した。

統計局によると、金の輸出急増は香港や英国への輸出がけん引した。

キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ベン・ウディ氏は「価格効果を考慮に入れると、第1・四半期の貿易黒字は国内総生産(GDP)の伸び率を0.4%ポイント押し上げたと推定している」とした上で、「中国経済が回復し始めており、コモディティーの輸出は持ちこたえると予想しているが、輸入は落ち込む公算が大きい」との見方を示した。

同氏は、貿易は第2・四半期の経済成長にもプラスに寄与する可能性が大きいとの見通しも示したが、その影響は、新型コロナ対策として3月下旬から導入されている経済封鎖による打撃に飲み込まれてしまい、第2・四半期のGDPは大きく落ち込む見通しだ。

オーストラリア準備銀行(中央銀行、RBA)は5日、今年上半期のGDPが10%、年間では6%、それぞれ減少すると予想した。