[北京 7日 ロイター] - 中国税関総署が7日発表した貿易統計によると、4月の輸出はドル建てで前年比3.5%増と、大幅な減少を見込んだ市場予想に反して増加した。

増加は昨年12月以降で初めて。市場では15.7%の減少が予想されていた。3月は6.6%減だった。

ただ輸入は2ケタの減少を記録しており、世界経済が縮小する中、今後の見通しは厳しいとの見方が出ている。

一部のエコノミストは、輸出の増加について、新型コロナウイルスの感染拡大で操業を停止していた国内工場の操業再開が寄与した可能性があると指摘。

Hwabao Trustのエコノミスト、Nie Wen氏は、一部の海外諸国では操業停止が続いており、5月の輸出も予想を上回る可能性があるとした上で「外需の低迷を特に懸念している。外需低迷の影響が本格的に感じられるのは、海外の工場の操業再開後だろう」と述べた。

オックスフォード・エコノミクスのLouis Kuijs氏はリポートで「輸出業者が第1・四半期の供給制限による落ち込みを埋め合わせようとしたことが4月の輸出を押し上げた可能性がある」と分析した。

そのうえで「購買担当者景気指数(PMI)の新規輸出受注は軟調で、中国の主要貿易相手国が景気後退(リセッション)に陥る中で、短期的に輸出はかなりの低迷が見込まれる。ただ、下期には需要は世界的に回復すると予想している」との見方を示した。

<輸入は急減>

輸入は14.2%減と、2016年1月以来の大幅な縮小を記録し、市場予想(11.2%減)以上に落ち込んだ。3月は0.9%減だった。

内需低迷やコモディティ価格下落に加え、国外で企業が操業を一時停止し、サプライチェーンが混乱したことが輸入に影響を及ぼした。

貿易収支は453億4000万ドルの黒字。市場予想は63億5000万ドルの黒字、3月は199億3000万ドルの黒字だった。

4月の輸出は人民元建てでは前年比8.2%増加。輸入は10.2%減少した。

税関のデータに基づくロイターの算出によると、貿易収支は3181億5000万元の黒字となった。

1─4月の輸出は前年同期比6.4%、輸入は3.2%、それぞれ減少した。

エコノミストの間では、短期的な貿易見通しを下方修正する向きが多く、米中の対立再燃を警戒する声も出ている。

ノムラは貿易統計発表前のリポートで、第2・四半期の輸出を前年比30.0%減と予想。第2・四半期の実質国内総生産(GDP)が前年比0.5%減になるとの見通しを示した。

トランプ米大統領は6日、中国が1月に署名した第1段階の貿易合意を順守しない可能性があるとし、今後1─2週間中に中国が順守するか明らかにできるだろうと語った。

<対米貿易黒字は拡大>

税関のデータに基づくロイターの算出によると、4月の対米貿易黒字は228億7000万ドルと、3月の153億3000万ドルから大幅に拡大した。

1-4月の対米貿易黒字は636億8000万ドル。

当局者によると、トランプ政権は新型コロナウイルス感染拡大に対する中国の対応を巡り新たな対中関税措置を検討すると同時に、世界の産業供給網から中国を排除する取り組みを加速させている。

*内容を追加しました。