【アパレル大手社長が激白】売上70%減を「追い風」に変える戦略

2020/5/4
新型コロナウイルスが経済に深刻な打撃を与えている。
3月末の東京都による外出自粛の要請、4月7日の政府による緊急事態宣言を受けて、街中の店舗や飲食店、施設の多くが休業に追いやられている。
カフェやレストラン、居酒屋の入口には臨時休業の張り紙が張られ、訪日外国人観光客が多かった観光地やホテルでは閑古鳥が鳴いている。
また、JR・私鉄・地下鉄も利用客が減少し、飛行機や新幹線に至っては、利用者が昨年に比べてマイナス70〜80%という激減に見舞われている。
さまざまな業界がコロナのマイナス影響を受ける中、ファッション業界は、その影響が最も大きい業界の一つだ。
百貨店やファッションビル、ショッピングモール、路面店が休業に追い込まれたことが大きく、2月末からマイナスが続く売り上げは、回復する見通しが立っていない。
NewsPicksは、こうした苦境にある業界のなかで、以前からアパレル大手として多くのブランドを手掛けてきたTSIホールディングスの経営トップに独占インタビューを敢行した。
TSIホールディングスは、「ナノ・ユニバース」や「ナチュラルビューティーベーシック」「マーガレット・ハウエル」「パーリーゲイツ」「ステューシー」などさまざまな人気ブランドを展開している。
直近の決算(2020年2月期)は、売り上げ(1700億円)が3%伸びた一方で、本業のもうけを示す営業利益は、前年から97%も減って、ギリギリ黒字を確保した。
今期(2021年2月期)の見通しも厳しい。3月、4月の売り上げは半減以上下落している。今後も先行きが不透明で、業績予想は未定としている。
もともと改革に迫られていたアパレル業界に起きたコロナ・ショック──。
果たして反転攻勢の「秘策」はあるのか。TSIホールディングスの上田谷真一社長にNewsPicksが迫った。
2~3年かける改革が「今すぐ」に
──コロナの影響による売り上げ減少は、いつから出始めて、今はどのような状況ですか。
上田谷 まず1月の終わり頃から、外国からのお客様が多いブランドから明らかに売り上げが減り始めました。
当社が展開するブランドでインバウンド比率が一番高いのは、アメリカのストリート系ブランド「アンディフィーテッド(Undefeated)」で、原宿や大阪の店舗にも来ていました。中国での感染拡大を受けて、そういうお店からすーっと客足が引いていきました。
ただ、2月下旬までは商品の入荷の問題もなく、国内の店舗まで波及することは想像していませんでした。
影響が本格化したのは、2月末からです。